新江ノ島水族館

旭山動物園のように行動展示に力を入れた水族館である。
真鰯の大群が光を受けて煌きながら巨大な生き物のようにうねる
海驢の首が如何に長く伸びるか、後ろに反るかを見られる
ペンギンが水中を飛ぶように泳ぐ
水面が上下する水槽で魚が飛び跳ねる
水槽の中で浮かぶ幻想的なクラゲ
10種類近くの各種鮫を触れるプール

ここは水族館としての規模は小さい。ギネスに乗るような巨大水槽があるわけでも、ジンベエザメのような目玉がいるわけでも、大掛かりなショーがあるわけでも、長大な海底トンネルがあるわけでもない。ひとつひとつの水槽はさほど大きくないし、目玉は真鰯の群れだと聞けば紙面のインパクトは弱い。ショーもイルカがジャンプするぐらいなもので海底トンネルすら無い。しかしまた行きたいと思える魅力がある。大学時代にこの新江ノ島水族館があれば4000円の年間パスを買ってしまったかも知れぬ。実に地味な見た目だが、硫化物で貝の蓋を生成する「スケアリーフット」という貝の一種なんかも展示されていたのは嬉しい。

水槽も半球ガラスとなっており、ガラスに手を触れられないのであたかも自分が水中にいるかのような錯覚に陥る。照明が実に巧い具合に当たっており、写真を撮るには都合が良い。水族館はえてして薄暗い上に魚は絶えず動くので大抵の写真はぶれてしまう。その一方で最近は大人も子供も携帯やコンパクトデジタルカメラで撮影を楽しむ人は多い。綺麗に撮れる水族館は嬉しいに違いない。

身近なものを如何に知らないか、身近なものからでさえ如何に感動を与えられるか
水槽内のレイアウト、照明を客の目線で丁寧にセッティングするだけでも如何に差をつけられるか
海の「動」物の動く様を見せるという本質が、珍奇な魚の陳列よりも如何に魅力的か
そんな基本的なことを教えてくれる水族館である。