内部監査は経営目標達成の為の一組織

内部監査が外部監査と違うのは、その活動目的を証券取引法会計基準などへの法令順守だけでなく、経営目標達成可能性を高める手段として経営資源を効果的に活用できるプロセス作りに置いている点だと思う。

対外的なSOX会計基準、税法、PL法、個人情報保護法や各種行政の安全基準などに社内の各種活動が違反していないか、違反したときにそれを自ら検知し是正する仕組みが社内にあり、かつそれが機能しているか。これは内部監査という字面からも想像しやすい職務である。

注目すべきは「経営資源の効果的活用の促進」も内部監査の仕事として求められているということ。社内外の規定に照らしてチェックしていくのは、マルバツをつけるようなもので一度知識と経験を積めばそれなりにできるようになる。しかし「経営資源の効果的活用の促進」とは、よりビジネス領域に踏み込み、ビジネス成果へ貢献していくことを示唆する。そしてそれは、基準と比較して「満たしていたらOK」ではなく、永遠に改善を求められていくことでもある。

なぜ内部管理プロセスを監査する組織の活動目的になるのか。これは企業が資源の損失を防ぎ、より効果的な投資意思決定をし、投資効率を測定分析する内部管理能力を得られればより目標達成の可能性が高まるとの考えに基づく。例えば、社外規定に沿っているものの非常に複雑で非効率なプロセスを社外規定に沿う範囲内で簡素化し、余剰能力を他の必要なビジネス活動に振り替えていくことも含まれる。予算に対して実績分析が不十分な組織に対して効果的な分析手法を提案することでもある。その組織の規模に応じて適切な内部管理プロセスを導入していくことでもある。まあ、平たく言うと、法令順守できる範囲内で如何に少ないリソースでより効果的に事業活動を行っていけるかを提案していく仕事と言い換えることができる。

ここは最低限抑えないとこんな洒落にならない損失を蒙るリスクがありますよー
なあなあで顧客に販促金払ってませんかー 非効率な使い道を把握できるようになってますかー
顧客ごとに数値目標や評価方法を書類に落とし込み、フォローアップして効果を最大化していますかー
そんな複雑なやりかたでなく、こういう風にやればもっと少ない人員と時間でできますよー
どこそこがこんな効率的なやり方を創意工夫しました。導入を検討してみませんかー

どうしたら経営資源の損失を防ぎつつ、投資効率測定をして効果的な投資意思決定できる会社の仕組みを作り上げていけるかを学べる仕事なんだな。


32階の高層階にいてもまわりが更なる高層ビル街だと眺めは壁。向こうのビルから見ると、自分も壁の中の見えない1人なわけか。個々の存在の希薄さを感じさせる街だ。。。