タイの華

何も蘭はタイだけの花ではない。東南アジアの国々ならばどこでもたくさん咲いている。しかし蘭はタイの国を代表するだけイメージが浸透している。日本が桜、オランダがチューリップ、イギリスが薔薇、中国が牡丹であるように。タイ航空のラウンジはオーキッドクラブだし、タイのリゾートと言えばスパに一面の蘭の花びらが浮いている絵を想像する。

実際にタイは蘭が非常に安い。Emporium Departmentという最も高いデパートの入り口前の花屋でさえ、蘭の鉢が3つで100BHTという安さ。至る所で蘭が咲き乱れる。徹底して、一貫して特定の種に拘ることでアイデンティティーを産み出す。フィリピンにも何かそんな花はないものか。

自分にもし一軒家があれば、それぞれの部屋からの眺めをそれぞれの植物で埋め尽くしたい。窓の外一面を楓で埋め尽くした部屋とか、軒下に藤棚を設けた部屋とか、2階ならば朝顔を這わした部屋とか。