機内映画

6時間以上のフライトは疲れる。残念ながらNWは期待したよりも上映映画に最新作が少なかった。DarkNightもIndianaJonesも2回観る程ではない。

そこで観たのはサンドラブロック主演の「MissCongeniality」邦題は「デンジャラスビューティー」だった気がする。日本語吹き替えで観たのだが、サンドラが演じるグレイシーが鼻を鳴らして豚のように笑う、あれは英語版でもそうだったのだろうか。2001年のヒット作らしいが、何が良かったのだろう。サンドラブロックは綺麗なようにも見えるし、顎が割れてごついようにも思う。ようわからん。全てが演技がかっていて薄っぺらい。いかにもな頭の悪い金髪田舎娘とか、嘘臭くて叶わん。コメディーとしても笑うところが無い。

「X-file」はドラマを引き摺り過ぎていてよくわからない。主人公が未だFBIの捜査活動に未練があるのは連れ去られた妹に対する贖罪かのような描き方をしていたけれども、ドラマのエピソードの焼き直しでそこには進展がない。謎の神父が超常的な霊視で肝心な手掛かりを殆ど与えてくれるので謎解きの要素も結局無い。何で魅せたいのかがようわからんままに、神父に小児性愛癖があるという設定や、犯人グループの心理描写も皆無なまま臓器売買のグロテスクな映像など陰鬱なものばかり。気分の悪い映画。

そういえば最近、面白い映画を観ていない。DarkKnightにしろ、驚異的な興業収入を上げた割にはチャチだった。スパイダーマン同様、正義の味方だった親友が一転して悪に転じるという陳腐な構造にがっかり。顔が半分焼け落ちた設定なんかも漫画そのものだ。これでは邦画のほうが面白いと感じるのも仕方ない。

期待せずに最後に見たラッセルクロウ主演の「A GOOD YEAR」が一番面白かった。邦題は「プロヴァンスからの贈り物」だったように思う。始まって5分ほどで映画としての出来が全く違うことがわかる。音楽とシーンの切り替えのテンポが良くて映像がスタイリッシュ。そして普段はあまり気にしないがカメラワークも良い。マックスがシャトーの思い出の場所を写真に収めるシーンや、陽だまりの中を歩くシーンなど陰影が美しいと思った。後でエンドロールを見ると監督はリドリースコット。なるほどと納得。
嘘臭い演技も無い。ラッセルクロウは好きな俳優ではないがやはり素晴らしい。これが存在感と評されるものなのだろうか。名優がいると引き締まる。
豪腕証券会社ディーラーが叔父のワイナリーとシャトーを相続し、それをすぐさま売り払おうと試みるが様々なトラブルの中で、叔父との記憶を思い返しながら素朴な喜びを再び見つけ出していくというストーリー。生き馬の目を抜くマネーゲームの描かれ方も好奇心をそそる。ひねくれてウィットに富んだ会話のほうが過剰演技な会話より小生は断然好きなようだ。しかしそれでいて、ラッセル演じるマックスが告白するシーンも直球過ぎて面白い。おいおいと照れながらも、温かい気分になる。作中とても気になったのだが、証券会社の秘書役のArchiePanjabiがセクシーでカッコ良い。「プロヴァンスからの贈り物」は最近観た映画の中で数少ない心に残る映画。

人生における素朴な喜びは目を向けて感じようとしなければ感じられないものなのだろう。そのような生き方を目指したいものだ。

共同経営者になるか退職するか二者択一を求められた時、マックスは金庫に保管された本物の代わりに壁にかけられたヴァンゴッホのレプリカを見て問う。「本物はいつ観るのですか。金庫から取り出して、本物をいつ眺めるのですか」と。

星をあげるならば 5段階評価
「MissCongeniality」
「X-file」
「A GOOD YEAR」☆☆☆