宴の終焉
新婚旅行もこれで終わり。ローマ文明、イスラム文明、中世キリスト教、近代スペインと歴史が重層に積もった土地を旅すると一生の短さをどうしても痛感させられる。栄華を極めたイスラム諸国も、世界の主役を演じたスペイン帝国もその後は没落の一途。
驕れる人も久しからず ただ春の世の夢のごとし
猛けき者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
スペインではグラナダでイベリアイスラム最後の王朝が成立する700年前に日本で平家物語に詠われたこの一説。もう陳腐にすら聞こえる一説だけど改めてその通りだと思う。結局どれだけ進歩を重ねても何千年も諍いや殺し合いは途絶えなかったわけで、自分の手の届く範囲で今の所、大きな戦争が無いと言うのは随分恵まれたことなのだと勝手ながら思う。
ユダヤ教やイスラム教であると言う理由で弾圧されたわけでも、王侯貴族の争いの中に生を受けたわけでも、奴隷にされ鉱山に送られたわけでも、戦渦にいるわけでもない。一庶民だが平和な時代と場所に生まれたのに瑣末なことに縛られて生きるのも勿体無いし申し訳ない。ひとえに風の前の塵に同じならば、リスクを恐れずやりたいことに挑んで気持ちよく死にたいものだ。
宗教に正当化されたスペイン人に大量虐殺された中南米原住民に何の救いがあったのかはよくわからない。ゲルニカで史上初の都市無差別爆撃で殺された一般市民に何の救いがあったのかもよくわからない。フランコ政権下で粛清された人達に何の救いがあったのかもわからない。似たようなことは世界各国、日本の歴史にも溢れている。晩年は友人知人の不幸に見舞われ続け、最後は市電に轢かれるも浮浪者と変わらぬ身なりに手当てされずに死んだ天才建築家ガウディが晩年はキリスト教徒としての信仰心を強めたのも事実だが未だ自分に宗教は信じられそうも無い。ただ思うのは、理不尽な悲しいことが溢れている世の中なら、せめて自分がその原因とはなりたくないということ。
新婚旅行の総括
- 人生、後悔無くやりたいことに挑め
- 善悪は自分の頭で考えろ
- 神がいようといまいと自助努力
- 他にとって苦痛ではなく安楽な存在でありたい
- 嫁さんと送る人生はきっと楽しい