お犬様

部下の子から教えてもらったプードルのブリーダーに連絡を取ってみた。情報は電話番号だけ。どのようなブリーダーなのかも住所も判らない。駄目もとでとりあえず現場を見てみようと思い立った。行動を起こさないとさもなくば、だらだらと何もせずに週末が過ぎてしまう。

ブリーダーの家はMakatiから30分ほど車で走った先のRizalのビレッジ内にあった。ビレッジに入る際にも運転手の免許証を預けなければならず、セキュリティーはしっかりしているようだ。気の良さそうな女性が迎えてくれた。

広大な庭に犬舎がある様を思い浮かべたが、ブリーダーというよりも個人愛犬家といった風情で、実際は一戸建ての民家のガレージに犬小屋が3つ並んでいるだけ。一番大きいゲージに子犬が4匹入っていた。後で室内も見せてもらったが、非常に掃除が行き届いている中流家庭。室内では子供がテレビゲームに熱中していた。パソコンが3台も置かれている。家の中も犬のゲージ内も非常に清潔に保たれており、飼い主が綺麗好きで几帳面なことが察せられる。好印象。

家の中と生活水準から察するにブリーディングが本業ではない。これは大きな利点だ。もし生活を繁殖に頼っていると、無理な繁殖や近親交配などをしてしまいかねない。しかし見る限り、愛好家が定期的に犬を繁殖させて生まれた子供を小遣い稼ぎに売っている程度。

母親は温和で吠えない。体格もそこまで大きくは無い。父親は知り合いのブリーダーのチャンピオン犬だという。一応血統書も揃えてはある。ただしここらへんは何とでも言えるし、血統書も簡単に偽造できると思われるので話半分に聞いてはいる。極論、健康でさえあれば雑種でも良いぐらいなので、想像以上に成犬が大きくなりさえしなければ良い。

肝心のプードルは3匹が雄、1匹が雌。雄は9000ペソ、つまり1万8千円、雌は1万ペソ。雌のほうが高い。繁殖が目的ではないし去勢することになるので雄で問題ない。足の骨の異常が無いか、耳の中が綺麗か、元気があるかなど簡単に触診して問題がなさそうなことを確認した。毛艶も良い。5月中旬生まれで今まで兄弟と一緒に母乳と母犬が吐き戻した半消化された食事を与えられているようだ。2ヵ月半ならばもらうタイミングとしても申し分ない。

フィリピンで犬を購入することに若干不安は残るが、いつまでも迷っていても仕方が無いので思い切って購入を決め、手付金3000ペソを払い、8月初旬に取りに来る約束をして後にした。犬の容貌の点ではジャックラッセルが理想なのだが、いざ飼えばどんな犬でも溺愛してしまうだろう。動くテディベアといった感じだ。テディベアは熊よりも犬に似ているとはな。

我が家に迎え入れるのが愉しみで待ち遠しい。