ダニ

大量のダニがマンゴーから湧き出してきた。ふわふわとした毛を掻き分けてみると夥しいダニが皮膚に喰らいついている。日本で言うところのマダニと特徴が一致する。

幼虫、若虫、成虫と各段階において犬と草叢を乗降しながら成長していくらしい。卵の時期以外、全形態を通じて血を吸うらしい。当初0.3mmほどの大きさのものが幼虫で4mmほどに大きくなったものが成虫だと思っていたのだが、実はどちらも既に成虫で血を吸うことで体積が100倍以上に膨れるらしい。そして血を十分に吸ったマダニは3000から4000もの卵を産むらしい。ソファやベッドに潜り込まれたら大変なことになる。

皮膚に喰らいついたマダニは強引に潰すとマダニの中の寄生虫やウイルスが犬の皮膚下に逆流するため危険だそうだ。しかも100匹ほど手で駆除した翌日に300匹ほどさらに出てきた。観念して獣医に連れて行くことにした。こんなに小さなマダニですらさらに自身も寄生されているなんて自然界はスケールが大きいと言うかなんというか。

Animal HouseというMakatiはJupiter通りの獣医は日曜の午後はほぼ満員だった。大きな犬や見知らぬ人が大勢いるのでマンゴーは完全に萎縮して大人しかった。獣医はダニをみると毎日のことのようにFrontLineというダニ駆除の薬剤を毛全体に塗り込んでくれた。完全に恐怖で震え上がっていたが、ダニの痒みから開放されるには避けられない道。しかし当の本人はその因果関係はわからないのだろうよ。獣医さんは予防の為に毎日投与するビタミン剤もつけてくれた。診察費、FrontLine、ビタミン剤合わせて1175ペソなり。

FrontLineは昆虫や節足類、多足類の神経系統を顕著に麻痺させる農薬を稀釈して転用したもので毛を舐めて犬が摂取しても健康被害が無いことが確認されている。生後1,2週間から使えるという。相当程度安全が確認されているので、ライム病などの致死率の高い病原菌をマダニに媒介されるリスクと天秤にかけるとやはりFrontLineを使ったほうが良いようだ。一日もするとボロボロと死んだダニが落ちてきた。ほぼ全滅に近い。

マダニに吸われた傷跡は数日痒みが残るらしいが、マンゴーにようやく平和が訪れる。部屋のダニ汚染も防げる。これでようやく安心して抱ける。