ダニ再び

マンゴーから連日わんさかと黒いゴマの様なダニが出てくる。

日曜の夜に40匹以上捉えて水に流した。何も遮蔽物のない白く平らな壁をなぜか彼らは上へ上へと登る。1、2ミリほどの彼らの体の小ささからしたら遥かなる道のりだ。白い壁に黒い体はあまりにも目立ち、危険は大きい。結果、ことごとく掃討されてしまう。

月曜日の朝には43匹以上を捕らえて水に流した。仰天してこれはただ事ではないと思い、動物病院にトリミングがてらフロントラインを使ってダニを駆除してもらうことにした。

ところが火曜日にも24匹以上がゲージを中心に放射線状に布陣を展開している。フロントラインは表皮から浸透し、そこに食いついたダニを殺す。既に十分吸い終わって脱出する機会を覗っていた一群だろうか。

おそらくは日曜日に連れて行ったフォートボニファシオでもらってきたダニだろう。無数の犬が行き交う犬の社交場のような商業施設だ。飼い主がカフェでお茶したりオープンレストランで食事をしている間、犬は腹ばいになって休んでいる。その間にダニが乗り降りしているのだろう。犬の社交場だがダニの交換会にも思えてくる。

ダニにしてみれば古い寄生主を捨てて新しい寄生主に取り付いたことは、新天地に生息範囲を広げる試みとして本能を満足させるものだったのだろうか。例え白い壁に身を晒して全ての固体が討ち果てようとも。

不幸なダニを再生産してはならないと霊長類のおっさんは勝手な憐れみをかけ、フロントラインを定期的に施そうと再度心に誓った次第。