Sonya’s Husband

毎回泊まる度に夕食時にギターを弾きながら歌ってくれる初老の男がいる。アコースティックギターが上手で旅情気分にさせてくれるが、歌声がなんというか。爺様の風呂場での鼻歌なのである。

京都の古寺のお坊様が聞いた有難いお告げ曰く、ソニアの旦那なのだそうだ。

我ら夫婦、思わず噴出した。そんな、馬鹿な、いや、なぜ違うと言い切れる。。。確かにSonyaの旦那の影が一切見えないことが以前から気になっていた。離婚したのか、死別したのか、マニラでビジネスでもしているのか。しかし、目の前にいるとは想像しなかった。

徹底的にこだわりつくしたSonyaの宿でなぜこんな中途半端が許されるのか。お坊様の冗談のようなお告げを聞いて、嫁さんと目を見合わせた。

Sonyaの旦那だから歌上手なフィリピン人の従業員の誰一人として止めることができないのではないだろうか。確かによくよく見ると若かりし頃は男前だったかも知れぬ。月日は風貌をひどく変えるものだから。


お坊様は嫁様に、いい加減なことを言うのは辞めなさいと窘められてらっしゃったが、真相や如何に。