思い入れの真珠

ポーランド出張の後にルーマニアに滞在する機会が得られそうだ。長らく会えていなかったルーマニアの友人への手土産に真珠のアクセサリーを買いにグリーンヒルズに走る。

シュテファンにはルーマニアで働いていた頃に大層世話になった。彼の結婚祝いも娘の出産祝いもしていなかったのが長年の心残りだった。娘の名前はテオドア、神からの贈り物という意味である。神授。真珠。シンジュ。ううむ。苦しいこじつけか。

グリーンヒルズには贋物や安物が並ぶイメージが強いが、真珠の種類の豊富さは目を見張る。完璧で均一な真珠だけを売っているブランドと違い、玉石混合の品揃えから気に入ったものを選び出す楽しさがある。

一際目立つ真珠が目に留まった。淡水真珠と違い南洋真珠は透明感のある色を放つ。そんな真珠は加工されないままの状態で粒で売られ、グリーンヒルズとて10万円、20万円する。さすがにそんなに高価で大玉の良し悪しを吟味する目もないし、手が出ない。しかし、色が魅力的で整ったティアドロップ型の真珠を見つけた。着色された真珠と違い、光沢が強く、見る角度で真珠質が反射する色相が変わる。真球の真珠に比べたらバロック扱いになるのだろう。おかげで色は美しいのに比較的安くなる。変哲も無い金具のピアスについていたのだが、これを交渉してホワイトシルバーメリダイアモンドのペンダントトップの金具に付け替えてもらった。

規格品ブランドには無さそうで、自分が気に入った一品を選ぶことができた。

さらに大勢に配るアクセサリー、小さな懐中時計、日本から買い込んでいた風鈴や和柄のハンカチなどを荷造りした。