真性サディスト

内部監査は真性サディストに向いている仕事のような気がしてきた。

弊社が設定しているリスク許容量は比較的少ない。厳格に設定しているとも言える。生真面目で優等生。投資家にとって安心できる投資先かもしれない。身内を褒めることになるが。

内部監査の仕事は種々の法律や基準に準拠して経済活動しているかだけでなく、社内基準に照らして満たしているかも問われる。無論、リスクを徹底的に洗い出し、自ら芽を取り除くことで内部統制を万全にするのが会社の為、皆の為という綺麗な題目を掲げることはできる。

しかし比較的厳しい社内基準に照らしてつぶさに厳格に問題を挙げていくと、評価に敏感な方々が憤り、悲しむほどの量の問題が出て来ることになる。個人的には別に構わんだろうと思える許容範囲でも、他の地域でそれを問題として取り上げている場合には一貫性を保つ点からも、問題とせねばならなくなる。そんなわけで目一杯悲しませることになる。しかし目をつぶって、最大限に悲しませ損ねた場合、のちのちに何かの拍子で我々の指摘漏れが明るみに出ようものなら内部監査チームの能力が問われることになる。内部監査が前は見逃してくれたけど今回見逃してくれないのは仕方がないか。。という風にはならない。指摘しなかった内部監査の問題で一貫性を保てと冷たい反応をされることのほうが多い。これはこれで困る。大層居心地が悪くなる。

重大な問題なら迷いはないが、えてして重大な問題よりは些細な問題のほうが圧倒的に多いもので、より些細な問題を議論することが多くなる。リスクを低減しながらも実務負荷を軽減できる解決策を提案して組織から感謝されることに喜びを感じますという人の気持ちは理解できるが、現実はそんなケースはそうは転がってはいないのである。管理は手間がかかるし、手間を減らせるようなシステムなりプロセスはえてして業界標準となって大抵は導入されている。

見つけた問題に関しては、そしらぬ顔でこれが会社の要求ですからと突っぱねれば良いのかもしれん。嬉々として問題を挙げていけるやつが楽しめる仕事かもしれない。真性サディストに向いているような気がしてならない。ま、半分冗談だが。