悩める係長職クラス

社内調査統計の結果、係長職クラスの間で「この会社で自分のキャリア目的が達成できると思う」という項目が急落しているそうだ。「一年以内に辞めるかもしれない」という指標も有意な上昇を示している。それが内部監査部門課長会議で話題になった。規模の小さな企業と人件費率、販売管理比率が大して変わらないことをセルサイドの証券アナリストに指摘されていることもあって組織の最適化、効率化が一層求められる昨今、地域本社への統合と整理も進み、ポジションも減り、出世競争が激しくなっていることも一因かもしれない。

未来の幹部候補生かもしれない部下を何人か預かっていれば、上司の役目としては彼らの仕事へのモチベーションと会社へのコミットメントを高めていくことも仕事の一部だということはわかる。しかし上司とて皆、実は悩んでいるものだと思う。それを一切見せまいとする振る舞いの不自然さを感じる。「僕は毎日会社に来るのが楽しい」「朝、起きて会社に行って仕事をしたいと思う」と多くの若手社員の前で語っていた人が翌年に転職したという話を聞く度に、何か白々しさを感じたものだ。あまりそういう人に何かを相談したいとは思わなかった。奇麗事や正論しか返ってこないように思えた。7年勤めて今までを振り返るに、誰かが辞めるその一時は感傷的になるが、それもすぐ風化して、辞めた人も直ぐ話題に登らなくなる。そして今までと変わらぬようにビジネスは回り続ける。それは皆が体感していることだ。奇麗事を言っても、彼らとてその薄っぺらさと空気は直ぐに察する。

上司がもし辞めようか悩んでいたら士気に関わるし悪影響だという理屈もわかる。しかし会社に繋ぎ止めることが必ずしも是ではない。それぞれの価値観やキャリアに求めることは様々なわけで、この会社で磨けることは何か、この会社で得難いものは何かを率直に話してくれる人のほうが私個人としては助かる。実感としてだが、殆どの人が自分のやりたいことがわからんが為に、待遇と環境の良い会社にとりあえず籍を置いて後で困らないように職歴を積んでいるといったところか。自分のやりたいことが会社の中にあるのか、外にあるのか。悩む部下に悩むことを先送りさせるような耳あたりの良いことを言うよりも、さらに悩んで答えを早く見つける助けとなるような話をしたい。それが個人の幸せにもつながるし、熱意に溢れた会社に必要な人材を育てていくことにもなるのだろう。そんなわけで、チームメンバーには率直に話すように努めていきたい。

人の心配している場合ではなく、自分自身も自分が何の為にこの会社で働くのかを一層明確化していくことが必要なのだろうな。