The Blind Side

評価☆
邦題は「幸せの隠れ場所」らしい。サンドラブルックはラブロマンスのヒロインなんかを演じるより、一般人の母親を演じたほうが良いのではないか。アカデミー主演女優賞を受賞したとのこと。そこまで良いとは思わない。

実話だそうだ。白人の富裕層家庭が何の見返りも求めずに黒人の若者の保護者となり育てていくことは文句をつけるべくもなく素晴らしいことなのだろう。ただ、脚本の問題なのか、いまいち感情移入できず、金持ちの気紛れで善行をしてみたかのような軽さが残る。苦悩や葛藤がさほど描かれず、いかにも仕事も家事も完璧にこなし、見知らぬ黒人の子の後見人としてまで振舞う母親像が完璧すぎて薄っぺらく現実味の無いものに映ってしまうからだろうか。

黒人の若者よ、おまえはなんと恵まれているか。それを感謝しなさいと言いたいかのようなストーリー。たまたま彼が選ばれ、全くの偶然でもってスラムから抜け出し、車も買い与えられるような裕福な境遇になった若者を快く思わない昔の仲間や知り合いの嫉みは自然な心の働きではないだろうか。それさえも醜いものとして描き、白人によって更正されようとしている子の足を引っ張る黒人コミュニティーのように否定的に描いているのが好きになれない理由か。

私には彼のような幸運は来ない。自分にもあんな嘘みたいな幸運が振ってこないかな。そう思わせるだけのあまり励ましにもならないような映画に感じた。映画「Pursuit of Happiness」のほうが観る者を力づける。