勘違いしてはなりませぬ

何十万円の高級コンドミニアムに住み、運転手と家政婦付きの生活をする。フィリピン庶民が手の届かないレストランで食事をし、マッサージやダイビングを楽しむ。

現地在住の人が、「駐在員は守られていて気楽なもんだよな」と馬鹿にする生活だ。その贅沢に使う数万円でフィリピン庶民は一家全員を養えてしまう。でもだからといって、上記を放棄するつもりもない。安全を天秤に掛けられるとも思わないし、そこでリスクをとるつもりも無い。

ただし、身の丈に合っていない生活だということは肝に銘じないといけない。期間限定の、海外駐在員であるという特殊な環境だからできる生活だということ。

アロヨ大統領の娘が空港で税関の列を割り込みし、職員に叱咤されたらしい。その後、その職員はクビになったということ。指導者は本来、国民のために憂い尽くしたからこそ敬われたのであって、出自が故に生来の特権として敬われるわけではない。

金と権力を持ち、周囲をある程度自由にできると、人は容易に勘違いするようになる。私としては、どれだけ消費するかよりもどれだけ自分自身で生み出せるかで豊かさを図りたいのだが、高級ホテルでコンシェルジュやボーイに傅かれて暮らす生活は甘美で気持ちよくなるのは事実。

価値観を歪ませないようにしないといけない。聖人君主の振る舞いはできないけれども、あたかも大金持ちのような生活ができるからといって傲慢で尊大な態度を取るようにはなりたくないものだ。


マニラ生活も楽しみ尽くしたい根性無しがせめて肝に銘じたいのは
食べ物を無駄にしない。レストランで必要以上に頼まない、残さない。
金銭の対価としてのサービスであろうと、何かをしてくれた人には感謝する。
労を厭わない。自分で出来ることは可能な限りする。
モノを大事に長く使う。