フィリピン1000ペソ紙幣

被爆者の手紙」という番組をNHKでやっているのがマニラからも観られる。聞いていていたたまれん。無念でならない。ただその時代のそこに生きただけの不幸。

アメリカはいろんな意味でどちらかというと好きな国ではないけれども、アメリカが悪いという話でもないのだよな。

中国や韓国では未だに日本の侵略行為が遺恨となっている。オーストラリアにとっても日本は唯一攻め込んだ国だ。清もアヘンを口実に英国にぼろぼろにされたし、その中国の歴代王朝も長い歴史の中で周辺諸国を隷属し、近年でもチベットに対して目に余る虐殺や文化破壊をしてきた。西欧はアジアアフリカ諸国を植民地化し発展を抑圧してきたし、アメリカは先住民の虐殺と黒人奴隷の歴史の上に成り立っている。


どこの国や国民が悪いなんて話ではなく、力を持つと人種を問わず誰しも道を過つということなんだろうな。侵略行為といったレベルの話でなくとも、権力と富を寡占するフィリピン財閥の力の使い方も正しいとは思えない。最近もタイのタクシン元首相の家族が脱税、横領、私用等の罪で実刑判決を受けたな。何かを自分の思うようにできると思うと簡単に道を過つ。自分の記憶をそんなに信頼しないほうが良いのと同じように、自分の理性や倫理観もあまり信頼しないほうが良い。もっと人の不完全性を前提に捉えるべきだろう。そして自分個人としても富や権力に依存した幸せを追求するような勘違いをしてはならんだろうな。


ちなみにフィリピンの1000ペソ紙幣には3人の英雄の肖像が載っている。その三人は

Jose Abad Santos(1886-1946)司法長官にして日本軍侵攻時の大統領代行。日本軍に協力を拒否し、処刑された。

Vicente Lim (1888-1945)米国国防大学を卒業した最初のフィリピン人。日本軍侵攻の時に活躍した将軍。バターン死の行進を体験し、日本軍に処刑された。

Josefa Lianes Eskoda (1898-1945)女性解放の先駆者にしてフィリピンガールスカウトの創設者。日本軍に協力を拒否し処刑された。