カーサマニラ

イントラムロスのサンアグスチン教会の向いにある。
贅を尽くしたスペイン植民地時代の貴族の館が憩いの場として解放されている。お土産物屋、博物館、カフェ、レストランの複合施設。

真っ白な壁にブーゲンビリアの紅い花が映える。石畳の中庭、アーチの門。外の暑さが中に入ってくるだけで和らぐように感じる。囲われたとても限定的な空間だけれども、マニラにもこんな素敵な場所があったとは。かなり欧州にいるような錯覚に陥る、フィリピンにしては隅々まで気の届いた設え。気に入った。

吹き抜けのスペースにまたがるようにカフェがある。パエリア、ラザニア、パスタ、ピザといった欧州の料理からシニガン、アドボといったフィリピン料理、それに各種お酒も置いてある。カウンターには「旭川青葉」などと銘打たれた御当地カップラーメンが誇らしげに置かれている。日本人としては雰囲気台無しだけれども人によってはここでしか買えない垂涎の品なのかもしれない。この日は生憎手の込んだ料理は殆ど扱っていなかった。ウェイトレスも「私、今日は非番なんだけどねえ。だから何が出せないかなんて知らないのよ」と客に愚痴る始末。職人意識は無いが、家族感覚で親しみやすいのはフィリピンでよく見られる傾向。あまり最初から期待しなければ、笑顔で接客してくれるほうが良いので最近はもう気にならない。上のレストランも次回食事してみたい。

3階建てで2階には寝室があり、調度品が展示されている。3階はボールルームとなっており、華麗なダンスパーティーが開かれた様を見ることが出来る。天井も装飾で埋め尽くされ、華美の一言。金装飾ではないのでごてごてした感は無い。小さな冷蔵庫があり、警備員が昔はボストンから氷を取り寄せていたという話をしてくれた。なんという贅沢というか放蕩。そりゃやりすぎだ。3階の奥には台所があり、調度品や器具がどれも雰囲気あふれる一品。このサーバーなんてマニアにとっては憧れの品ではなかろうか。残念ながら殆ど輸入品らしく、マニラにこれらを作る工房なんかは育たなかったようだ。そういった工房が出来ればスペイン文化がもっと根付き、観光資源としての現在の発展の仕方も違ったように思うのだが残念。

中にはCasaBrancaホテルもあったらしいのだが、今は閉まっているようだ。スペインのPousadaのように昔の雰囲気あふれる宿泊施設があったら泊まってみたいのだが。モダンで豪華なホテルは既に充分にある。むしろ増やして欲しいのはマニラホテルのようなクラシックホテルかもっと小規模で宿主との距離の近いブティックホテル、プチホテル。

観光の中継地点として最適だ。もっとスペースがあれば本でも持ち込んで木陰で読書したいところだ。どうだろう。次回試してみるか。

General Luna St. Intramuros Manila
Open 9-6