シュノーケル

爆竹が夜中中鳴り響くクリスマスイブが明け、クリスマスの朝は実に静か。皆、まだ寝入っているのだろうか。

やはりビーチリゾートに来たらこれだろう。珊瑚礁の海をアイランドホッピングし、シュノーケリング。行程8時間、ランチやドリンク、シュノーケリングの器材もついて4人でバンカーボートを借り切って一人55ドル。食事を済まして自分でスナックやドリンクを持ち込めば一人35ドル。そうするのが一番お得かもしれないが、時間と手間を惜しんでランチつきのツアーに申し込む。

バンカーボートは左右に浮きの役割を果たす棒がついてバランスを取りやすくした小船。今や動力はエンジンだが、その風貌にどことない南国情緒が漂う。

40分ほど向かった沖合でシュノーケルを始める。丁度海底が落ち込む縁の部分で深さは10m程度はあろうか。水の透明度が高いので砂底まで明瞭に見える。珊瑚礁自体は色取り取りと言うほどでもなかったが、鮮やかな熱帯の魚が美しい。ガイドが固まった御飯をくれるので、それを魚に与えると視界が埋まるほど集まってくる。

魚はさほど目が良くないのだろう。御飯粒と指の区別もつかないらしい。他の魚が餌に有り付いていると見るや、我負けじと所構わずかぶりついてくる。チョウチョウウオのようにオチョボ口の魚なら可愛いものなのだけれどもブダイのように嘴の尖った魚につつかれると多少痛い。

それにしても眼前数十センチの距離で見る彩豊かな魚は見ていて飽きない。ヒレが透明ではなく色のしっかり付いた魚は本当に水中を飛んでいるように見える。そして熱帯の魚の色は大抵の絵画は原色を置いているだけだが実際はもっと深みがあって角度を変える毎に鈍く輝きを変える。

写真はなんとも活きの良い鮑。これが大層美味い。


防水カメラが無かったので何一つ撮る事はできなかった。ひとつ購入したいところだが怒られることは目に見えているので口には出さなかった。

シュノーケルを終え、別の島に移って遅い昼食を取る。後ろであまり巧くない二人組みがギターで歌ってくれたり、綺麗な貝を売りに来たり。クリスマスだからと言われるとどうも財布の紐が緩む。綺麗な貝を高いと感じながら嫁さんに散々止められながらも買わせてもらった。子供にプレゼントが、だとかもうすぐ新年だから、だとか色々と説得力のない理由をつけて周りに観光客がいなくなった島で集中砲火。ラム酒を買わないかと勧められたので、カレッジと話し合い、皆に振舞うことにした。バケツにラム酒を瓶一本入れ、そこにコーラを瓶一本。それを良く混ぜて即席ラムコーク。グラスが二つしかなかったので順繰りと乾杯して回った。安酒に見えたラムが思いのほか柔らかくて美味しかった。

帰りしな、前方を飛魚が水面から勢いよく飛び出した。ヒレを水平に張り、エンジン動力の船を遥かに上回る速度で20メートルほども滑空してまた海に消えていった。魚が20メートルも空を滑空するなどとは夢にも思っていなかった。事典での知識は現実感がない。実際に目の当たりにすると仰天する。鮮烈な印象。海が活力に満ちているように感じた。