セブ観光政策

セブの街並みは思いのほかごみごみとしていて少しがっかりした。タイのプーケットのように観光客が闊歩する喧騒的な街を想像したのだが、マニラと同様の乱雑な街並みに油断の出来ない乱暴な運転をする車。フェリーを降りるとタクシーの客引きが群がる。「どこまでいくんだ」「300Phpでどうだ」「こっちのタクシーにこい」一人気の弱そうな男を選んで着いていったが、案内されたのは違うタクシー。単にタクシーに案内するだけの男だったらしい。チップをくれと強請ってきた。乗り込んだタクシーは無事にホテルまで送り届けてくれたが、暗い中で路地にでも入られて強盗されればそれまでだ。流しのタクシーにしろ安全の保証はない。

街の景観を整備するだとか、観光客が安心して出歩ける地区を整備するだとか、政府や地方自治体が後押しして観光都市を作り上げる動きが感じられない。ただただ無秩序に開発され人口が増え、魅力が失われたら次の土地へと足を伸ばす。金持ちはUpperTownに閉じこもるように住み、庶民派DownTownに集中する。そうやって個性のない都会が這い広がっていくだけ。観光客が金を落す仕組みが欠けているように感じた。

空港のお土産物屋に並ぶのはドライマンゴーやTシャツ、フィリピンと掘り込んだ貝以外に置かれているのはなんとも残念なことに日本人形、ポケモンカードポリネシアの木彫りの人形の模造品、中国の招福招来の像などその土地に関係のない支離滅裂な輸入品。魅力が全く無い。買って帰るものが無い。宇都宮の餃子ではないが、作り上げた名産でも良いからフィリピンらしい物産を自治体を上げてバックアップできないものなのか。日本の地方を回ると苦笑したくなるほどのご当地ものの創意工夫を見ることが出来る。「まりもっこり」や「きりちんぽ」などというイメージを上げたいのか下げたいのかよくわからないものすらある。そのような創意工夫を殆ど見ないのはまだ視野が狭いだけだからか。

文化が無いとは言わないが、インドネシア、タイやベトナムほどには有形で世界に知れ渡る独自の美術や食文化がないフィリピンでは美しい自然環境が最大の観光資源だろう。ニューカレドニアタヒチとイメージは似ているが、それらに比べるとアジア近隣諸国からのアクセスは非常に良い上、物価も安い。しかし最大の障壁は治安のように思う。バケーションに来ているのに身の不安を感じながら恐る恐るタクシーに乗るようでは話にならない。一人身や友人同士のバックパック旅行ならいざ知らず、嫁さんや子供を連れてとなると万が一のリスクなど取れない。そうなると送迎つきの名の通った外資系の高級リゾートになってしまうが、そうなると最低限の賃金以外に利益は大してその土地には落ちないのではなかろうか。

個人、一店、一業者でどうこうするのはやはり難しい。コミュニティーを挙げて取り組む観光政策が必要になる。政治家が癒着して財閥や大手に実質独占的に機会を与えているようでは難しいだろうな。自分の写真と共に自分の名前をキャッチフレーズにして公共の場で業績をアピールするような大衆迎合的な政治家には期待はさほどできないのかもしれないけれども。幾万の人々の生活を左右する政策の重責を負うだけに政治家には優秀で志のある人が必要なのだとつくづく思う。

Greater inter-island transport
Mobility
Accessability
ってどれも基本的には同じ事を繰り返しているだけ。単に大統領自身の名前グロリア-マカパガル-アロヨの頭文字GMAを載せたいだけ。大統領としては当然のことをこのように宣伝することに恥の意識は無いのか。そもそもすべきことがたくさん未着手な現状に恥の意識は無いのか。こんなことを書くと不敬罪になるか知らんが。

よそ者は偉そうに言いたいことを言えるが、では自分はどうやって国あるいは地域に貢献できるのだろうね。