豚に真珠 後編

通販会社の漆器模造品の不正表示の件でフィリピンの真珠のことを思い出した。フィリピンでお買い得なものにはこの真珠が挙げられる。

真珠がひとつ付いたピアスはペアで150円程度。ブレスレットでも300円程度。バロックと呼ばれる歪んだ形の真珠のネックレスは700円程度で見つけることが出来る。真球に近い真珠のネックレスも2000円程度で買えてしまう。大体は淡水真珠らしい。海水真珠、特に南洋黒真珠は大粒で高いらしい。淡水真珠は巻きが薄く照りが少なく小粒なので安いらしいが明るい照明の下で見るわけでもなければ十分に綺麗だ。もちろん探せば大粒の南洋黒真珠も置いてあるが値段もそれなりにする。

イスラム圏は大体どこも寄木細工や貝細工が特産になっているが、ここフィリピンもスペインが征服する以前からイスラム文化が根ざしており、今日でも真珠の養殖はミンダナオなど南方の島国で盛んだ。スカーフを被ったモスレム女性がマニラでも売っている。

真珠をよく見る機会などそうそうなかったが、こんなにも多様な色があるとはフィリピンに来るまで知らなかった。田崎真珠などの専門店で見掛けたのは均一色の極めて真球で品質が良い選りすぐられたものだったからだろう。赤、朱、臙脂、桜色、黄色、緑、黒、灰色とどれひとつとして同じ色が無い。むしろこれほど形も様々で不揃いの真珠の中から選んだほうが自分の好みのもの、愛着の湧くものになるのではないだろうか。

普段使いの装飾品として、凸凹とした歪みも楽しめるならフィリピンの廉価な真珠は女性にとって大層魅力的らしい。職場の女性も真珠のアクセサリーをしているのを見かける。小生は判らないので一緒に買い物に来ては写真ばかり撮って過ごしているが。