親が祖父母状態

腹が立つほどに我侭な子供を見た。ガキんちょと言うほどの可愛げが無い。ぽってり太って肌艶がよく、使用人に偉そうに接する。見ていて気持ちの良いことではない。

フィリピンには我侭な中上流階層子弟の生まれる仕組みがある。と小生は思うに至る。

フィリピンの中流以上は乳母を雇うことも珍しくない。赤子や幼児にとってはたまに相手をしてくれる実の両親よりもどうしてもいつも面倒を見てくれる乳母になついてしまう。

普段は手のかかる幼児の世話は人任せなのに、実の子との繋がりは感じたい。しかし子育ての専門家たる乳母の方が面倒を見るのもあやすのも上手い。若い母親にとって自分よりも乳母のほうに懐いてしまうというのは大きな喪失感であるらしい。するとどうなるか。モノを与えて子の歓心を買おうとするのである。これは貧しい雇われの乳母にはできない実の親だけの特権である。

子に愛されたいがために、好いてもらいたいが為にモノを買い与える。これは祖父母がすることと一緒である。知り合いの親にも、すでに24を越えた娘にすぐ高価なモノを買ってあげようとする人がいる。

そんな祖父母状態の甘やかし両親と、命令には逆らえない実母代わりの乳母に育てられるわけだから、厳しく躾ける人は不在なのではなかろうか。

甘えて強請ることと、幼少から大人を指図して使うことを覚えて育つ中上流階級子弟に腐敗と汚職の減らないフィリピン経済との関係を穿ってしまう。