ブリュッセルで再会

ルーマニアで働いていた頃に出会ったDanielaとBrusselsで再会する。空港の出口でJun Ciorbaruleと書いた紙を持って出迎えてくれた。彼女と会うのは6年ぶりだろうか。それでもひと目で彼女だとわかる。温和で人当たりが良い人だ。笑うと尖った犬歯を覗かせる。それを見て小生はいつもドラキュラを連想する。

6年の間に彼女はBonnで働き、Brusselsで働き、そして今はRomaniaのBucurestiで働いている。2歳ほど年上で、今のところ結婚の予定は無い様子。

6年の間にルーマニアは大きく変化したと言う。ルーマニアで知り合った頃は彼女はまだ学生で、EUにも入っていなかった当時は国外に働きに出るということは夢のようだったという。当時大卒初任給は月100USD程だったが今では700USDほどにもなるという。もはや望めばフランスやドイツに行くことも可能。友人知人も多くは国外に出て行っているそうだ。Brusselsでもルーマニア人は多く、道端でルーマニア語を耳にすることも多いとのこと。

EUに入ってようやく惨めさから脱却したと言っていた。しかしその一方で恩恵を大きく受けているのは都市部の教育を受けた20−30代に偏っており、地方もしくは中高年は依然として低い賃金のままで、むしろ都市部の物価の高騰に苦しんでいると言う。自分の母親の給料はもしかしたら10分の1ぐらいかもしれないという。高度な専門職ではないし、母も教育を十分受けたわけではないけれども20年、30年働いてきた人をもう少し遇せないものかと寂しそうに言う。世の中は動いているし、迎えているのは未知の真新しい未来なのだろうけれども、どこかで聞いたような話が繰り返されているだけのようにも感じる。

誰が結婚した、誰がどこに引っ越したなんて話を聞きながら、彼女の友人宅にバスで向かった。ホテルに泊まっても良かったのだが、無理言ってDanielaのBrusselsの友人宅に泊めてもらうことになった。彼女は別の友人宅に泊まるという。小生が泊めてもらう友人は初対面。図々しい話である。しかしホテルに泊まるよりも現地の人の家に泊まるほうが何倍も楽しい。