ベルギーの友人 Didier

Brusselsで泊めてもらったのはDidier。韓国人だが幼くしてベルギー人夫婦に養子縁組されたという。よってアジア人臭さの全く無いベルギー人である。Dana曰く気難しいが打ち解けられれば実に良い人との評。初対面なのにそりが合わなかったらどうしようかとも思ったが杞憂に終わった。
さっそくTandoay15年ラムをお土産に渡したのだが、これがなかなか好評だった。酒を飲む男にはドライマンゴーよりもTandoayのほうが喜ばれるのではなかろうか。
彼は日本食マニアなようで、台所には10種類近くの包丁やナイフが取り揃えられている。しっかり銘の入った刺身包丁まであるし、ふと目を向けると白鷹の一升瓶、日本食のレシピ本なんかも置いてある。たまに自分で寿司も作るそうだ。そして神戸牛に憧れを抱いている。そんな彼のベルギー一押しのレストランは「田川」。ラーメン屋は「ヤマト」。それ以外はイマイチだという。

養子縁組され、全寮制の学校に早くから入れられたということも関係するのかもしれないが自分の才覚で人生を切り開いてきた男らしい。後になって知ったことだが、デザイン会社を2社経営する実業家でブリュッセルに3件アパートを所有しているそうだ。比較的早い時期に成功を収め、2ヶ月に1回行くかどうかにも拘らずニューヨークに家賃60万円の家を借りて彼女を連れてよく遊びに行っていたそうだ。

断じてこんなことを自らベラベラとしゃべる男ではなく、普段住んでいるのは庶民的な地域にあるアパートだし車も持たず、家も別段豪華でもない。毎週アマチュアバンドの生ライブが聴けるチーズとビールの美味いバーに水曜と日曜に行くのが習慣で着飾る風でもない。34歳の年の割には多くの孤独や成功、虚栄を見てきたのではないだろうか。今や派手なものに興味を失い人とのつながりに価値を見出している様子。金の無いルーマニア人や勝手に転がり込んでくる日本人を相手に夜遅くまで酒を飲んでだらだらと付き合って楽しんでくれる男である。ありがたい。

デザイナーというだけあってアートや食には相当にこだわりを持っているようで、日本食や京都の伝統文化の話なんかでなかなか話があった。ベルギーに仕事外の友達ができて嬉しい。週末が完全に暇なベルギー出張があれば、いろいろ遊びに言って見たいものだ。