挙式

喧騒を離れた海沿いの教会で人生の一大行事を無事終えることができた。

外国人の牧師さんが日本語交じりの英語で祝福の言葉を掛けてくださる。実はそれを打ち合わせの際に聞いて大きな不安があった。アーナーターウァー キャミィーニー チィークワァイマスカーなどと変わったアクセントで話されたら、場が真面目なだけに笑いのツボに入ってしまいかねない。ふと牧師さんを見れば、それはとんでもなく真面目な顔をして話していることだろうから尚更である。祝辞の中にホトケという単語が聞こえただとか、感動して肩を震わせていると思いきや笑いを堪えて肩を震わせていたなど他の困った事例も聞く。

心配は杞憂に終わった。牧師さんは白髪混じりで小柄だが目がとても優しく、思わず一言一句に聞き入ってしまう重厚さと芯の強さを感じる一方で、ハワイアンならではの陽気さも併せ持つ。牧師さんを初めとしてカメラマン、スタッフ皆朗らかさが溢れていて温和で気持ちがよい。まだまだ自分には多くのものが欠けていると感じる。

式は教会でのキリスト教式のものとハワイ式の儀式が混ざったものだった。キリスト教徒として生きてきたわけではないのでむしろ自分らには合っているような気もした。いずれにしろ大事なことは変わらない。

Love、Faith、Hope、Patienceだそうだ。

式の後も庭で家族と言葉を交えながら写真撮影が行われ、その後は小さなテーブルを囲んでガーデンパーティー。親たちも歌を口ずさんだり、フラダンスを皆で踊ったりとこじんまりとした団欒が良かったように思う。親からのとても素敵な挙式だったとの言葉が一番あり難い。

贈り物と一人一人に宛てたメッセージカードを手渡した後、最後に伯母がアヴェマリアを歌ってくださった。アヴェマリアがこんなに美しいものだとは知らなかった。人生を少年少女合唱団の育成に捧げ、バチカンローマ法王の御前で歌を捧げたことも幾度かある文化功労賞を贈られた伯母だが、伯母の歌声に真剣に向き合って聞いたのは初めてだと思った。今まで独身だった分、小生のことを我が子のように可愛がってくださった伯母が想いを込めて私達に向けて贈ってくれた歌。一番の贈り物である。

お招きできなかった親族友人含め多くの人に支えられて来た事に感謝。