Time Share

ホテルの一部を共同所有数するTimeShareという方法が欧米では一般化しつつある。ホテルの一室を年に数週間利用できる権利を購入するのである。

Hiltonでも積極的に販売しており、説明会に参加するだけで$100ドル分の金券をくれるというので説明を受けてみた。

HiltonHawaiianVillageの場合、購入対象の部屋の広さや格に応じて毎年得られるバケーションポイントとやらが決まっており、与えられたバケーションポイントを他リゾートの部屋と相互交換することによってHiltonGroup3000件のリゾートホテルに泊まれるらしい。また、HiltonHawaiianVillageの場合は土地付きの権利書が得られ、相続等もできるそうだ。

  • 年に1週間泊まれる権利が450万円ほどで購入可能
  • 購入対象の部屋には宿泊12ヶ月前から9ヶ月前まで優先予約権が得られる
  • 無期限の所有権が得られる
  • 前後三年間繰越をすることができる
  • さらに余ったポイントはホテルポイントに振り替えておくと無期限保存可能
  • ホテルポイントを使ってホテルに無料宿泊することが可能
  • ホテルポイントの変換率は25倍で他のリゾート物件よりも高い
  • ホテルと違い設備の整った台所が付いている
  • 年に10万円の維持管理費がかかる。実質1週間に対し10万円の管理費である。
  • 私有物は何も置くことができない。
  • 52週のうち40週がピークシーズンで使用ポイント数が余計にかかる
  • 他の51人の共同所有者と他の無数のクラブ会員と予約がぶつかる可能性がある
  • 新規ホテル物件では50倍のホテルポイント交換率が設定されているホテルがある。経済環境が悪化する中で販促の為にホテルポイントを濫発している恐れがある。換算率の高さにつられて購入したものの会員過多で予約が取れない英会話教室NOVA状態になる恐れがある
  • ハウスキーピングは滞在中に一回だけだそうだ。ホテルに比べて随分と人件費を抑えられるものだ
  1. 結局30年程度積極的に活用できると仮定すると一泊350ドル近くを払うことになる。
  2. 350ドルならば国や場所によってはホテルのスイートに泊まることができる
  3. リゾートに来て自炊はしない。毎日自分で片付けるのは不便。
  4. リゾートの近くに新鮮な食材を安く売っている庶民的な店は存在しない
  5. 仮にキッチンが利用したい場合Ascotなどのキッチンつきサービスアパートメントを同額以下で利用できてしまう。しかもこれらの場合は毎日ベッドメークや清掃が付く。
  6. 9ヶ月先の予約確定など無理。1ヶ月前の予約が難しいならば利用価値は低い
  7. 普通のホテルなら同時期の同都市内で複数のホテルから選ぶことができる。よって予約が一杯だからと時期や目的地を変える必要が無い。
  8. 私有物が一切置けないならば、例えば自転車を置いておいて毎年ハワイでサイクリングを楽しみに訪れるといった利用の仕方ができず、所有している利点は無い
  9. HiltonGroupの物件は興味の無いアメリカ地方都市に多くアジアや欧州の観光都市は少ない
  10. 今までHiltonGroupに個人旅行で泊まったことは皆無。ホテルのスタイルや文化的魅力という観点から選択肢に入ってこない類のホテルに購入を機に毎年泊まるのは本末転倒


ハワイに物件所有しているんだけど。。。などと見栄を張る以外に客観的に考えてメリットは少ないのではなかろうか。Hiltonが一般ホテル客室を潰してTimeShare販売用に転用しているのが何故か、いかにHilton側が儲かるかもわかった。融通の効かなさに目を瞑り向こう何十年もの宿泊費を前払いするだけのことである。相当気に入ったホテルに毎年同じ時期に来たいという少数の利用者向けの商品と言える。

TimeShare物件の魅力と価値は以下に尽きるように思う。

  1. 魅力的なホテルをだれだけ多く取り揃えているか
  2. 価格プレミアムが真に有用な差別化要素に対してのものか(キッチンの有無やホテルポイント還元率の高さでは無い)
  3. 予約の融通がどれだけ利くか