ブリュージュ

14世紀から15世紀に現在のベルギーとオランダを指すネーデルランドで最も栄えた港町。ただし沈泥によって商船が入れなくなり15世紀以降は都市機能そのものが失われ長く捨て置かれたらしい。そんな事情が効を奏して中世の建物が非常に状態よく保存されている。

もともと運河で卵型に囲っているので繁栄を極めた時代にも都市が膨張することなく切り取られた区画の中の密度が高まり豪壮な建築が建ち並ぶことになった。やはり欧州の石造建築は富の蓄積と言う点で利があると思う。何世代にもわたり積み重ねて築かれた景観美は洗練され隙がない。


ここブリュージュはフランス人やオランダ人などにとっても人気の観光地らしく、4連休の真っ只中であることもあって日本の地下鉄のような混雑振りだった。人込みも含めてディズニーシーの一角の様でもある。無論あのような安っぽさは全く無いが。

昼食をとったレストランは魚料理を出す店で、白アスパラガスのスープに魚のグリルとベルギーフライで20ユーロ。舌平目のグリルは欧州で食べた中で一番美味しかった。景色が良く、食べ物まで旨いとなるとそれこそ幸せな気持ちになる。

食後は貸自転車を最大限活用して運河沿いの風車を眺めに行く。どこも自転車用通路が整備されていて快適に廻ることができる。運河を眺められるようにベンチが置かれており、そこで寛ぐカップルや老夫婦の脇を爽快に走り抜けていく。

数ある風車のうちの一基は上に登り中を覗くこともできる。巨大な木造歯車が目に見えない風の力を受けて廻る。風車小屋の中のカラクリを見ると何か心が踊る。「風の谷のナウシカ」の世界を思い起こすからか。


海抜0メートルの地域の多いオランダやベルギーの沿岸沿いは水との戦いであったらしい。見学した風車は穀物を挽く用途のものであったが水を汲み上げるための風車も多かったようだ。

ブリュージュはベルギーに来たなら是非訪れたい街のひとつに思う。