暗殺の値段

嫁さんが金曜日に日本に帰省してしまい、なんとなく生活のリズムが狂う。一人だけだと食事を作るのも何かと面倒に感じてしまう。

夜は30代の日本人の集まりに参加させて頂いた。ブルゴス通りの裏のスペイン料理屋「Alba」。パエリアやスペインオムレツ、鰻の稚魚の和え物なんかは美味しかった。

ところで、先週、邦人が金銭トラブルで射殺された事件が話題に上がった。なんでもフィリピンの暗殺の相場は5000ペソ程度だなどと怖い話を聞く。たったの1万円だ。無論、つかまれば無期懲役などに処せられるのだが、それにしても安い。それでも明日の生活の為にその役を買って出る人は幾らでもいるのだろう。そのぐらいこの国で貧困は広く深い。

恨みを買ったら命など無いと思ったほうが良い。問題は暗殺は貧しい人だけの最後の手段ではないことだろう。

大統領に批判的なジャーナリストが行方不明になった数はアロヨ政権下が一番多いなんて話を聞いたこともある。どんなに政府高官の不正を正そうとしても、簡単に命を奪われかねないようでは割に合わない。
この手の暴力は先に割り切れた者勝ち、先制攻撃したもの勝ち。悪人にやさしい社会といえなくも無い。9割がカソリックの信心深いフィリピン。君らの信じる神様がきっちりと彼らを地獄に落としてくれることを祈る。

ブルゴス通りを歩いて家まで帰ったのだが、道中2,3回道端に立っているお姉さんに声をかけられる。1500ペソでどう、と。3、4回稼いだら、憎らしい誰かの命と交換できる。寒気がする。