プエルトプリンセサ地下河川公園

朝6時に起き、7時に地下河川公園に向けて出発した。9人でバンに乗り込み、途中未舗装の道を含めて2時間の道中。ガタガタと酷い揺れが続く相当な悪路を覚悟していたので、肩透かしのような至って快適な道中だった。



Sabangの浜からさらにバンカーボートに乗り換えて20分ほど。岸壁を回り込んだ入り江に降り立つ。そこからさらに森の中を数分歩くと、地下河川公園の入り口に着く。



碧の水を湛える地下河川の入り口。世界遺産の入り口はやはりただの水景では務まらないのだろうか。不思議だ。はっとするような光景だった。

この地下河川は約8.2kmという世界最長のもので、舟で航行可能な部分が非常に長いことからも希少らしい。直接海に流れ込んでいるため、下流部では潮の満ち引きの影響を受けている。手漕ぎのボートに8名程が乗り込み、先頭だけが持たされた懐中電灯を頼りに往復40分近く洞窟を進む。絶えず蝙蝠がキンキンとした高音を発して飛び交っている。前日見た蝙蝠と比べると随分と小柄な別種の蝙蝠のようである。いかんせん、暗い中なので空間把握が困難だが、中ほどにはおそらく天井高25メートル近くはあるのではないかという、大聖堂(カテドラル)と呼ばれる大空間が広がり、鍾乳石や石筍が見られる。暗い水路を抜けた後の大空間の広がりは異空間につながったような不思議な感覚。

地下河川公園が最大の目玉なのだが、その前後の旅路も自然環境も素晴らしい。地下河川から戻ると野性の猿に遭遇したかと思えば、コモドオオトカゲのような体長2m近くのオオトカゲが悠然と横切っていった。岸壁に囲まれた入り江は樹々が浜まで迫り、秘境の静けさがある。こんなところで半日のんびりしたいが未練を残して後にした。


フィリピンには5つほど世界遺産がある。

マニラのバロック様式教会群はメキシコやスペイン本国のものと比べると遜色してしまう。ビガンも半日もあれば廻れてしまう規模と見応えだと聞く。トゥバタハとコルディレェーラは十数時間かかるなど、交通の便が至って悪い。そのような観点から、地下河川公園は比較的訪問しやすく、かつ見応えのあるお勧めできる世界遺産だと思う。