但馬屋

フィリピンの子等は肉が好き。今更言うまでも無いが。

神戸に但馬屋有り。
フィリピン人の間には伝説的な知名度を持つ。どうしても行きたいというのだが、しかしマニラからの便の都合上、月曜日の到着はどうしても夜になってしまい但馬屋に行くことは出来ない。月曜が祝日、監査は火曜からなので、宿泊費は月曜日の夜からしか出ない。

行く為には日曜に前泊しなければならないのだがホテルに泊まる金はないという。それでも行きたいというので、日曜日に泊めてもらえる友人を探すことになった。自分の手際の悪さで泊めてもらえるという友人から鍵を渡してもらうことも忘れ、結局一人の友人の家に5人が転がることになった。

寝具を芦屋の友人宅から借り受け、後輩に車を出してもらい、女性二人を個室にいれ、男三人をソファーベッド、床、そして寝袋に配してようやくなんとか一晩泊まれる体制が整った。さすがに床は底冷えするので、寝袋の下に電気カーペットを据える等工夫したが、あまりの滑稽さに友人二人と笑い転げた。テレビ番組でやってた、芸能人格付けの三流芸能人用設えといった状態。

隣に寝た男が今まで聞いたことのないような大音声の鼾をかく奴で、ずっとうつらうつらしたまま朝を迎えてしまった。しかしそうまでして臨んだ但馬屋はやはり美味かった。

タレが甘い。肉の味が濃厚。
コートを青いポリ袋に入れるところや、室内がそのうち煙で白濁してくるような殺風景さが肉だけに集中するための本気さの表れのようで、それもフィリピン人には新鮮なようだ。