従業員写真講習

フォトジェニックな舞台の多いホテルだから、思わずあちらこちらで写真を撮りたくなる。当然、家族とのフィリピンでの優雅な一時の思い出を写真に残したくもなる。そんな時は従業員を探して撮ってもらう。

自分が思い描いた情景通りに撮ってくれた時には嬉しいのだが、そもそもカメラの扱いに慣れておらず軽く半押ししてフォーカスを合わせることを知らない人も中にはいる。一眼レフだと赤点に主体を持ってきてフォーカスをあわせてなど些か複雑になる。ピンボケやあまりに陳腐な背景構図で撮られているともう一度お願いすることもあるが、何度も撮り直しさせるのは気が引ける。

閃いたことがある。

この水準のリゾートホテルであれば、接客従業員全員に写真技術の講習を受けさせるというのはどうだろう。

何も高度な技術は必要ない。まず顔にきちんとフォーカスを合わせる。景色が素晴らしければ、人物をど真ん中ではなく、横なりに配して映す。そんな程度で十分である。

景観の美しさを十分に引き出した家族写真が撮られるとしたら、その波及効果は大きい。まず宿泊客は友人知人に見せたくなるだろう。FacebookMixiに載せたいと思うかもしれない。「私もここに行きたい」「私もこんな素敵な家族写真を撮りたい」と思わせられればその集客力や如何に。プロのカメラマンに撮影させ、雑誌に大金を払って広告を載せるよりも、宿泊者に感想を語らせながら魅力的な写真を友人知人に見せることを促したほうが訴求効果は高いに違いない。肉声の口コミというのは煽動力がある。


水平線が傾いていたっていいではないか。