フランスの住宅街

友人のアパートがあるのはAndresyというセーヌ川に面したパリ郊外の静かな街だった。「何も無いところよ」などと友人は言っていたのだが、川辺を散歩すると整って小奇麗な街並みに新鮮な感動を覚えた。

パリから車で30-40分の通勤距離でこんなに閑静な住宅街があるなんて。しかも長年にわたって手を入れ続けて得られた家々のスタイルが洗練されていて感心する。パリ郊外のセーヌ川沿いは貴族の称号を持つような名家が好んで住居を構えたらしく、シャトーのような豪邸も多い。観光上は無名な街の家並みにも関わらず、その見事さにフランスの文化の厚みと裾野の広さを感じる。

建物自体は古いのに、所々に白や鮮やかな青が差し込まれていたりしてなんとはなく御洒落な色使いではないか。角を折れるとそこは三叉路になっており、マリア像が置かれていたりする。これは田舎の街のお地蔵様や道祖神と似た感じか。

こんなところに住むのも良いな、と率直に思う。そんな風に思えた海外の街はバルセロナ、フェズについでパリ郊外ぐらいなものだ。