アムステルダム

ほんの一泊だけマニラへの乗り換えの為に立ち寄った。夜の9時近くに部屋の小さなホテルに着き、そこから夕食を求めて町をさまよい歩く。

アムステルダムと言えばまず頭に浮かぶのはコーヒーショップと呼ばれる大麻を合法的に提供してくれるカフェ。看板に明記してくれていたり、いかにもヒッピーなインテリアだとわかりやすくてよいのだが、一見カフェ風のコーヒーショップもあってわかりづらい。大麻の甘い香りがつくとフィリピンで麻薬犬の関心を惹いてしまい面倒なので近づかないようにした。

散々歩き回ってるうちに陽が暮れ、もうひとつのアムステルダム名物の飾り窓地帯に紛れ込んでしまった。赤い蛍光灯に照らされた半間ほどの幅の小部屋が連なり、そこに下着姿の女性が通行客を誘う。当然写真撮影厳禁らしい。それぞれのやむを得ぬ事情で働いているのだろうし、売春する必要がなくなったときに過去を掘り返されるような痕跡は残したくないのは当然だ。

如何わしい街だと盛んに言われるほどのものでも無いと思った。ビーチでビキニの女性をたくさんみかけるように、赤いランプの下で下着の女性がいるだけだ。ただ、それだけ。トップレスの女性がいるビーチのほうが露出は大きいぐらいだ。まあ、カーテンの閉められた部屋の中ではいろんなことが起きているのだろうが、街を歩くだけの観光客には関係ない。警官が絶えず巡回するし、合法的に管理されているのでアジアの繁華街の路地裏の猥雑な雰囲気なんぞはない。風貌を見るからに東欧の女性が多いように見受けた。

後で調べてみたのだが、相場は30分ほどで50ユーロらしい。しかし10年前の相場も50ユーロらしい。時間は40-50分とある。金額ベースの値上げはされてない代わりに時短による実質値上げということか。ただ、自営という扱いになっているので一晩の家賃100ユーロ近くと税金も払っているらしい。楽ではないな。。。

翌日、午後のフライトまでの空き時間に美術館まで歩いていった。ここにはレンブラントの「夜警」やフェルメールの作品なんかが収められている。両者は日本人に特に人気の高い大家であるが、Halsの静物画やレンブラントの「夜警」の向かいにある作品も特に素晴らしいと感じた。すぐ近くにあるゴッホ博物館も嫁さん曰く見所十分で良かったそうだ。アムステルダムの三つ目の名物はオランダ絵画美術館であろう。

街には運河が張り巡らされ、背丈の似通った綺麗に塗装された細い建物が犇き合う。旧市街は歩いてまわれるほどの範囲で、こじんまりとした街である。建築規制が非常に厳しく、壊すことも立て直すこともできないという。結果、傾いた建物もそのままに残されている。この建物なんて造る時点で、片側を接する町並みともう一方を接する町並みが双方共に垂直ではなかったが為に苦肉の策で設計したのだろうか。

そういえばブカレストで泊まった宿はレンブラント、入ったカフェはゴッホであったと思わぬ偶然を思い出した。