Invictus

評価☆☆☆

ネルソンマンデラの偉業の片鱗が伝わる映画。マンデラに恵まれた南アフリカの幸運。20世紀後半までマンデラほどの指導者が現れねば是正されなかった不幸。いや、クリントイーストウッド監督好きだわ。

ワールドカップを前にしてまさにタイムリーな映画かもしれない。南アフリカの指導者の誰かが言っていた。皆、他国のメディアは南アフリカの問題ばかりを取り上げがちだが、アパルトヘイト廃絶以降に南アフリカが成し遂げたことにこそ目を向けるべきだと。黒人は解放され、対等に扱われ始め、国内に無数の学校や病院が建設され、誰もが夢を持つことが可能になったと。

南アフリカラグビーチーム主将の父親がコリコリの人種差別主義者に描かれている。誰も好き好んであんな役を演じたくはないだろうが、その当時の世相を描写するには欠かせない役回りである。役者さんも褒め称えたい。

ブラックダイアモンドと呼ばれる黒人の新興富裕層が生まれ、白人と黒人の間での差別だけでなく黒人間の格差による軋轢も生まれているとらしい。南アフリカワールドカップが成功し、南アフリカマンデラの描いたような社会になってくれんことを切に願う。

雑感。問題は全て予見はできない。変革においては変化を起こしながら生まれてくる問題を早期に認識し、摘み取って柔軟に対応していくしかない。寛容を示すこと。

以下、映画中で紹介される、マンデラ大統領の27年間の投獄中を精神的に支えたW.E. Henleyの詩の一篇。 
Out of the night that covers me,
Black as the pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.

In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.

Beyond this place of wrath and tears
Looms but the Horror of the shade,
And yet the menace of the years
Finds and shall find me unafraid.

It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.