Mutual feedback

先週、効果的なOneOnOne(上司と部下による個別面談)のトレーニングがあった。トレーナーはインド人のHR。ちなみに彼のお兄さんはUniLeverという大手メーカー勤務だそうで、UniLeverでは上司と部下のOneOnOneなんてものはないそうだ。日本の企業同様、入社して2年間は各部署を転々として3年目から正式な配属となる。それまでには社内のネットワークも構築されているので別段OneOnOneはなされないとのこと。ではキャリアの相談や自分の成果への評価はどのように話されるのかというと、年に1回しか話されないらしい。

OneOnOneとは
−部下による権利であり義務である。上司は要望されたら応えねばならない。
−談話ではなく会議である。予めかつ定期的にスケジュールされる。
−議題が事前に上司に送られていること。特に判断を仰ぐ事項や複雑な事項はその場で聞かれても効果的な助言をできるとも限らない。上司に準備の時間を与えることが肝要。
−議題の用意されないOneOnOneに上司は出る必要がない。互いの時間を尊重すること。
−議題としては短期的な仕事の優先順位、プロジェクト案件の具体的相談、期待に応えられているか、顧客や社内人間関係に問題はないか、長期的なキャリアの相談等等。
−上司は定期的に、かつ率直に成果に対する評価を伝える。期待に満たない場合、上司と部下は迅速に改善案を話し合うことができる。一年に一度の評価プロセスで期待に満たないことを伝えられても部下は驚き、そして改善する猶予も残されない。
−上司が部下を評価するのと同様、部下も上司の改善点を指摘することをもってOneOnOneを終わらせる。お互いの成長に寄与する。
−必ずお互いの家族の話から始める。(彼曰く部下の家族からLoveLifeまでなんでもお互いに把握しているそうだ。ただしこれは土地の文化に対応してのこと)

印象に残ったエピソードとしては、彼自身半年ほどしてから上司としての自分は期待に応えられているか部下に尋ねたそうだ。その時、部下は逡巡した後、「仕事はきちんとしているけれども自分のことをケアしてくれていない」と答えたそうだ。インド人の彼は、高い評価も与えたし、社内表彰も得られたし、何が問題なのか尋ねた。部下はさらに答えた。「仕事上は確かにいろいろやってくれたけど、全く自分の家族や趣味のことも聞かないし自分を知ろうとしてくれない。私はあなたの仕事の道具じゃない」このとき、脳天を打ち砕かれるようなショックを受けたそうだ。インドでは仮に憎しみ合っていても会議のテーブルに着けば互いに効率的に議論できるのが文化なのだそうだ。仕事と割り切る文化だし、それ以外を仕事に持ち込まない文化なのだろう。フィリピンにおいては公私での相互理解が仕事の上でも非常に重要なのだそうだ。これはタイ、ベトナムなどのアジア諸国でも同じらしい。

私もフィリピンでは家族的な付き合いが大事だと聞いていた。だからバンコクで嫁さんも交えてチームの子と夕食に行くなど心掛けていたつもりである。しかし今日の部下とのOneOnOneで言われてしまった。上司面していなくて良い。話しかけやすくてよい。でももっとPrivateの話も自分らにして欲しいと。頭で理解してもやはりわからないものだ。彼ら彼女ら曰く、”You are my boss but at the same time, my friend”なのだそうだ。人懐っこくて陽気なフィリピン人気質を体感したように思う。

信頼関係と率直な対話がある限り、どんな文化でもいくらでも学んでいくことができるものだな。勉強になる。

フィリピンの犬はなかなか賢い顔をしておる。