Parador de Carmona

スペインには修道院や貴族の邸宅、果ては王城を改修して整備されたパラドールと呼ばれる宿泊施設がある。

今回はSevillaからタクシーで30分、40ユーロ弱でこれるCarmonaの王城を改装したパラドールに泊まりに来た。崖の上に聳えるように建つ4階建ての古めかしい石造りで、バルコニーからは広大な田園風景を望むことができる。

中央にはアラブ風の美しいパティオがあり、気候に応じて室外、室内のソファや椅子で寛ぐことができる。昼間は日曜日だったこともあって日帰りの観光客がごった返していたが、夕方以降にもなるとがらんとする。喋るのに邪魔にならない程度に音楽が静かに流れ、涼しい風が通り抜ける。オフシーズンで宿泊客も疎らなこと、3月が暑すぎず寒すぎず調度良い気温であること、アンダルシアの空気が乾燥してからりとしていることなどもあるだろう。ゆったりと時間が流れ、心が安らぐのだが生暖かくてとろんと眠くなる感覚ではなく、あくまで肌に涼しく頭も冴える。今までに感じたことのない爽快さと心地よさを味わった。

どうしたらこの気持ち良さを後になって思い返せるようにできるだろうか。1年後、2年後でも日記と写真でああ、あの頃のあれは良かったなどと思い返せることを期待してこうして記しているのだが。


窓から外を見晴らすと、何も無いようでいて何かと色々なものを発見する。横切っていく兎、追いかけあう猫、それを草を食べるのをやめて眺める馬、山羊を器用に追い回す犬、盛って鳴くロバ、空を舞う鷹。

二日間、だらだらとのんびりとここの空気と眺望を楽しむことにした。