Sevilla Casa de los reyes de Baeza

市街地のビジネスホテルの予約が一泊足りなかったことに気づき、延泊は200ユーロだと言われたので別のホテルを探すことにした。幸いにしてGranadaで泊まったものと同じ系列ホテルに空きが合ったのでそちらに移動する。


いやはや素晴らしい。昔の有力貴族の邸宅を改装したホテルなのだが、ここは今まで泊まったどのホテルとも趣向が異なりまるで田舎の小奇麗な民家に泊まるかのような雰囲気がある。

部屋数は40ほどでパティオを囲むように並ぶ宿泊棟が二つ並ぶ。屋上にはプールとデッキチェアも並ぶ。併設のレストランはGranadaで食したSenzone。改めて思うのだが、公共のスペースが充実しているのが素晴らしい。Senzoneレストラン内に限らず室内のリビングスペース、二つの屋外パティオや屋上のプールサイドで食事やお茶をすることもできるし、それ以外にもまるで居間のような寛ぎのスペースがある。「ゆったりと本を読みたくなる雰囲気」がここの寛ぎの基準のようだ。

置かれている調度品がどれも色がうるさくなく、よく観ると面白いデザインのものも多く洒落ている。巨大ホテルの大きなロビーと異なり、居間にいるような感覚ながらも対になったソファーやコーヒーテーブルでそれぞれがお互いを気にせず寛げる雰囲気がある。それぞれにスタンドライトが置かれているのも一役買っているのだろう。

公共のスペースを充実させるというのは実は効率的なのではないだろうか。高価なスイートルームでもないかぎり、部屋を広く豪華にするにも限度があるし価格と需要のバランスもある。各部屋にパティオを置くなんて無理があるし、大きな鳥籠や革張りのソファなど各部屋に個性を出すのは難しい。ならば各部屋を少しづつ充実させるより公共空間を充実させたほうが設備投資も集中させられる。皆があちらこちらを移動しながら多彩な空間を楽しむことができる。結果より広く使えるようにも思う。

これは都市の豪華ホテルとは一線を画すように思う。豪華で広々としたロビーも気分は良いがさほど落ち着く気がしない。大勢が出入りする場所の大柄な家具のある空間ではなく、ある程度の閉じられた空間で洗練されていながら生活感の感じられる家具のある空間となっている。

当ホテルグループの魅力は「普段、宿泊者が住んでいないような非日常の住居に普段の便利さを損なうことなく泊まる」ということではないだろうか。標準で全ての部屋でWiFiが無制限自由に使えることも大きい。
客層は30-40代が多いようだ。仕事の出張で利用している人もいるようだし、バケーションで来ている人も多い。PDAで電話していたり、WiFiを活用している現役なビジネスパーソンが多い印象である。給仕も受け付けも30代の従業員が多いのも客層を反映してのことかもしれない。


部屋は眺めのない部屋ではあったが、風呂場につながった専用のパティオがある。各部屋ごとに特徴があり、探検するのも楽しい。これで一泊130ユーロ弱。非常にコストパフォーマンスが高い。またスペインを訪れる機会があるならばこのホテルグループの宿とパラドールを交互に泊まり歩きたいものだ。