ウィーン自然史博物館


大抵は宮殿を専制君主制が崩壊した後に美術館などとして転用している場合が多い。しかし美術品と動物や鉱石標本の美術館を想定してハプスブルグ王政の元にこの壮麗な双子の宮殿が建てられたことにオーストリア人の学問教養への意識の高さが伺える。


ウィーンは欧州の自然科学研究の頂点に君臨していたのだな。鉱石から鳥類、魚類、爬虫類から昆虫まで徹底的なコレクションである。しかも自然の造形を美術品として扱い、それらを活かすべく展示しているのが感心する。

動物標本もどれも質が高い。中には既に絶滅したドードーや図鑑好きな小生も見たことのないような珍奇な哺乳類までいる。地域もアフリカから南太平洋まで広範に及ぶ。

昆虫の館では行動展示と見間違えるような、山中の一瞬を切り取ったかのような生々しい展示がなされている。鳥の死骸に群がる昆虫類なんてまさにどれもが生きているかのようだ。近くで見ても違いのわからない微妙な模様違いの天道虫が何百種も集められていたりと立派な大人が生涯をかけて何世代も子供の遊びに取り組むとこうなる、といった迫力を感じる。


この貝の装飾は非常に良いアイデアではなかろうか。フィリピンで廉価な貝を大量買いしてパネルを自製してみたい。嫁さんは貝を買うことに確実に反対するだろうが、ここまで綺麗に並べて壁にかけるならば許してくれるやもしれぬ。小さな貝を並べて和文様を描いてみてはどうだろうか。流水紋や八雲なんぞ。