ブルージュ市庁舎

いつの時代に建てられたのかも、誰が描いたのかも知らないし調べることすらしていない。

この市庁舎の室内装飾を見てとたんに足が動かなくなった。傍目から豪華絢爛であることは間違いない。しかしあちらこちらに金が塗られて一見脂っこくなりそうなものだが、絵画の色調がマットで落ち着いており嫌味を感じないのである。静けさも感じられる。王侯貴族から庶民までの人物画が一面を埋め尽くしているのだが顔つきも中途半端なデフォルメが無く誰もが好感を持ちそうな画のように思う。何より無表情なそこらの宗教画と違い顔に表情がある。輪郭をしっかりと描いており漫画っぽい印象も受ける。

日本にもこのように素晴らしい王侯貴族を描いた壁画があっても良いものだが。源氏物語絵巻日本版壁画が造れぬものだろうか。なんなら襖絵であっても良いように思う。水墨画や古式ゆかしい洛中洛外図のような屏風もあれはあれで良いが、もう少し華やぎがある襖絵も良いように思う。襖を開けた際に見える景色と襖絵のテーマに連続性があれば尚良い。

楓の植わった苔庭を仕切るのに楓の襖絵。そろそろ自分の家でも建てたいなあ。