アトミウムと小欧州

1950年代にベルギー万博の際に建てられたらしい。比較的最近のものだと思っていたので驚きである。しかも球から球へとエスカレーターで移動できるというのだから優れものである。

大阪万博太陽の塔に日本の子供が熱狂した以前の建造であるから、なんとも近未来的に映ったに違いない。当時の欧州の子供達は未来がこんな建物が林立する姿を想像したのかもしれない。


傍にあるミニヨーロッパはEU加盟国の世界遺産や象徴的建築物の模型が置かれたテーマパークである。欧州でもっとも刺激的EXICITINGなテーマパークと言う宣伝文句だが白日の下に作り物の安っぽさの目立ってしまう代物だった。雨の多いベルギーだけに塗料も剥げかけており、危うく第三セクターのテーマパークに転落寸前である。

それでもモノによってはとてもよく造られている。フランスやイギリスのものが立派なのは国力を反映してか。ポルトガルリトアニアなどは寂しいものだった。既にブルガリアルーマニアも造られている。

ところどころで鴨や雀が寛いでいるのが面白い。建造物の大きさを思うと巨大怪獣さながらの縮尺に見える。いっそのこと鳥園や動物園、爬虫類園にでもしてしまったら面白いと思うのだが。エッフェル塔に巨大リスが登っていたり、ビッグベンに巨大インコが巣をこさえていたり、大聖堂の屋根の上に巨大蜥蜴が日向ぼっこしていたり、ベネチアの運河を巨大蛙が泳いでいたり。子供も飽きずに動物を眺めるだろうし、大人も楽しめる。写真好きには堪らぬ珍奇な被写体となり隠れ人気スポットになること間違いなし。

一番の希望はこれらを全て水の中に入れて模型水族館にしてしまうことなのだが。法隆寺を緋泥鰌がにょろにょろと泳いでいたり、巨大なタージマハルの周囲をディスカスが泳いでいたり、コロッセオに手長蝦が棲んでいたり。そういう水族館がどこかにないものか。