ベルギービールフリーク


ビールが旨すぎて、日曜の午後の2時間をビールを飲みつつビールの日記に捧げてみた。部下と2人で6リットルほどのビールをまとめ買いしてしまったほどだ。今回、初めて欧州を訪れた一人暮らし経験のない深窓育ちの部下はホームシックをアルコールで解消している。

ベルギーで楽しむべきものは一つがチョコレート。二つ目にはビール。300種類や500種類もの銘柄を揃える店を目にするが、ベルギー国内には固有の名前を持ったビールが1100弱種類にも及ぶ世界一のビール国だそうだ。

ベルギーでは水源に恵まれておらず、湧き水も少ないことから水を麦酒に替えて保存していたと聞く。フランス人がワインに血道を挙げ、日本人が日本酒に血道を挙げたように寒すぎて良質な葡萄がとれずなかったベルギーではビールに血道を挙げたようだ。修道会の修道士が作るトラピストビールというものから大手醸造所のものまで様々。宗教によって庇護されたことは発展の上で大きい。一言で言えば世界で最もビールの発展した国、それがベルギー。

ラガー、エール、ランビックといった製法の違いから、原料にするホップ、ハーブ、自然発酵酵母の違いによって多様な種類があるが、ビアホールに行くとダークかブロンドか、ドライか甘口か、香りが強いものか弱いものか、度数が強いものか弱いものかなど好みを聞きながら最適なビールを選んでくれる。驚いたのが数年樽で寝かせたアルコール13度のビールなんてものがあること。8度なんてのは比較的普通である。

ベルギービールが一番旨いというよりベルギーで一番旨いビールを飲むことができると言うほうが適切かもしれぬ。「旨い」などというのは人の好みと主観によるが、何百種類の中から自分の好みのビールを選べるのが世界で一番ビールが旨いと言える所以だ。

  • 楽しみ

からっと晴れた風のよく通る日にテラス席でビールをあおると大層気分が良い。見晴らしの良い内庭のバルコニーで飲むのも乙である。

ベルギービールの特徴は自然発酵のランビックと呼ばれる製造方法のビールが異様に豊富なことで、流通するビールの大半がラガーである日本やフィリピンではあまり見かけない。また、修道士が作るトラピスト麦酒と呼ばれるものもベルギーならではだが、神に仕えながら麦酒をつくって陽気に顔を赤くしている様を想像すると何やら修道士の生活というのも悪くなさそうである。トラピストビールのグラスの形状はどれも聖杯型なのだとか。
グラスを陽にかざすと光を透かして色の鮮やかさとグラデーションが際立ちなんとも美しい。泡が焦茶色から黄色までのグラデーションを呈す。
ビールのブランド毎に専用の形状をしたグラスがあり、なんとも綺麗だ。ビールの形状次第で味のほうも雲泥の違いが出ると言うのだからぼってりとしたボルドーグラスや細口のシャンパングラスのあるワインさながら。ビール専門店だとその銘柄のグラスが全部使われてしまっていると、他のグラスに注いで出してはくれないというから味とグラスは密接な関係があるらしい。

  • 値段と購入方法

日本と比べると3倍安い。ベルギーでも水とビールの値段は変わらないぐらいだ。ついビールを頼んでしまう。
ブリュッセルを歩くとそこら中に居酒屋があり、大体一杯33clで2から3ユーロ程である。ビール専門店ほどの品揃えは無いが、スーパーに行けば人気のある主要な銘柄、例えばKriek、Chimay、DuvelやOrvalなどの有名銘柄が一瓶33clで80セント程度で売られている。しかもスーパーならばGRIMBERGENという修道院ビール銘柄ひとつをとってみてもDubbel、Blond、Tripel、Bruno、Gold、Cuvee de L'Ermitageと6種類も置いてある。気に入った銘柄がスーパーでも買えるものならばスーパーで買うほうが断然お徳だ。グラスは街中の観光客向けの店で4から5ユーロほどである。
日本でもネットショップで200種類のベルギービールと100種類ものビールグラスが購入できるようだ。http://www.belgianbeer.co.jp/なかなかよくできたサイトだ。フィリピンだとFortBonifacioにあると聞く。

  • 薀蓄

最も有名なビールの分類方法を提唱したのはマイケル-ジャクソンだそうだ。ネバーランドを建設する子供の心を持ちながら、ビールに情熱を傾ける大人の心も持っていたのか、と思いきや別人らしい。
1870年代までビールはコルクで封がされてしたらしい。ベルギーでは今もコルクで封のされたシャンパンのようなビールを買うことができる。

  • 愛好家の世界

ビール瓶:一緒に来ている部下のフィリピン人の父親も収集家だそうだ。数を追い始めると途端に部屋を占拠し始めて家族には鬱陶しがられるのだろうな。http://www.kbsinstitute.org/ランキング上位に思いのほかベルギービールは少ない。ルーマニアのTimisoreanaが善戦している。自分の好みのビールはランク上位にはない。http://myweb.tiscali.co.uk
ビールラベル:ワインのエチケットを収集している人は意外といるもの。上等なレストランならば、記念日に飲んだワインが格別に美味しいのでソムリエに記念にエチケットを剥がしてきてもらうことだっておかしなことじゃない。同様にビールのラベルを丁寧にはがして並べて額に入れればそれなりに洒落たインテリアにもなろう。Labologists Societyという協会もよのなかにはあるそうな。http://beerlabels.com/
ビールラベルをアート作品にしてしまっている人もいるようで。http://www.mazaika.com/grafika/dog_of_beer_big.jpg
ビールグラス:実際に家族と来客で使う程度の数ならばありなのではなかろうか。そんなわけで今回いくつかベルギービールグラスを土産にしてみた。ワイングラス代わりにもなるに違いない。全て別のグラスを用意すればパーティーで自分のグラスがわからなくならないし、なんとなく遊び心があって楽しいかもしれない。銘柄毎に固有のグラスをもつベルギービールだが、コレクターズスペシャルエディションなどという収集家を狙い打った特別版を定期的に出しているので一度はまると抜けれない底なしの趣味。露天ではビールグラス内にキャンドルを入れたインテリアなんてのも売られていた。http://blog.livedoor.jp/takatakascreen/?p=2収集好きの日本人に収集家がいないわけがない。このサイトは大変見やすく、好みのグラスを物色するのに最適かも知れぬ。http://www.beerglassescollection.com/こちらのサイトは収集の自己ルールなんてのも定めており、表示も丁寧で見やすい。ただ、ベルギービールがたったの4つでそのうちの2つがStellaではビギナー甚だしい。今後に期待。
マグネット:意外と自宅の冷蔵庫にマグネットをたくさんつけている人も多いのでは。うちのチームの子に影響されて旅先で見た目の良いマグネットを買うようになった。レジン製で自然色に近いデザインの優れたものがあれば買う程度。残念ながらベルギーは原色で塗られた出来の悪い安物ばかり売られていて購買意欲は沸かず。
ビールの王冠:恐らくビールの王冠を集めている人もいることでしょう。

こうして4日目はビールの無駄な知識を得て過ぎた。