プラハ市内観光

二日酔いの為午前中は起き上がることが出来ず。昼過ぎから雨の中を終日AdiとAndreeaに旧市街を案内してもらった。

残念ながらひどく雨が降っていたが、バスやトラムを乗り継いでプラハ一番の観光コースを案内してもらった。観光そのものよりもいろんな話をしながら歩いて廻るのが楽しいので雨もさほど気にならず。

ヘンリー時計塔に登り、眺望を楽しんだ後、旧市庁舎前の広場を抜け、カレル橋を渡る。雨にも拘らず非常に多くの観光客で賑わっており、誰もがプラハでの一日を逃すまいとしている執念を感じる。ジャケットを借りたものの傘を差さずに歩き回ったのですっかり冷えてしまった体を立ち寄ったレストランで温める。堅く焼き締められたドーム型パンの中がくり貫かれ、中に熱々のクリームスープが入れられて出される。面白い発想だ。スープを飲み終わる頃にはスープが浸透して少しふやけたパンをそのまま食べることも出来る。一緒に出された麦酒がこれまた素晴らしいもので、山羊が麦酒ジョッキを抱えたロゴマークチェコはベルギーに並ぶ欧州の2大麦酒国なのだそうだ。


プラハ城を抜け、有料の階段庭園を降りていく。丁度、薔薇が咲いており、こじんまりとしていながらも立体的に組まれた通路が見所に溢れている。バビロンの空中庭園とはこのようだったのかもしれないなどとも空想する。

さらにトラムとケーブルカーを乗り継いで、丘の上の旧テレビ塔に登ることにした。60メートルほどの高さのエッフェル塔を模した塔で建てられて既に100年近く経つ。支柱の周りを登りと降りの階段が二重螺旋状に巻きついており、螺旋階段は吹き抜けなので初夏の時分には風が通り抜けて気持ちよい。曲線の鉄骨が装飾的で無骨な印象が和らげられている。。

頂上からは左手にプラハ城から右手に旧市街まで一望することが出来る。眺望は必ずしもタワーの高さ次第ではない。適度に建物の詳細が視認で来ながら展望が開けているほうが面白い。台北101はその対を成す。赤茶色の屋根と緑青に錆びた銅葺きの屋根、無数の尖塔が連続して美しい。プラハの眺望に感嘆しながらも、どこかで嫉妬も感じてしまうようだ。ルーマニアブカレストもかつては東欧の真珠と呼ばれたほど美しい街並みを誇ったがチャウシェスク政権下で殆どが破壊されてしまった。チャウシェスク時代に壊されなければルーマニアも同じように綺麗だったかもしれないとAndreeaからは悔やむ溜息が聞こえる。


プラハは近代的な集合住宅は眺望の外にまとめて建てられ、旧市街はその美しさがそのまま保たれた。結局、共産主義云々ではなく其の時々の統治者の景観への意識と理解次第だろう。京都や東京にそれがあるかと問われればないとしか言いようが無い。
夜はMonica、Aditiも加わり豚の丸焼き、鴨や魚のグリルを楽しむ。豚の丸焼きは全くパサパサすることなく大層美味しいものだった。残念ながら、スペインで食べた丸焼きやフィリピンのアドボとは全くの別物であるかのように美味しい。有り難く命を生きる糧にするからにはできるかぎり美味しく調理して頂戴したいものだ。世界中に出稼ぎ労働者を輩出するフィリピンだからこそ、アドボをさらに改良していく努力を加えていても良さそうなものだが、この味の格差はなんだろう。この豚の丸焼きの調理方法が知りたい。そしてフィリピンのアドボをこのように美味しくして欲しいなどと思う。

半日で駆け足で廻ったプラハだったが旧友と話しながら廻った事もあり、楽しいものだった。何年空白があろうと瞬時に昔に戻れる。そして何のしがらみもなく分かち合える。良き友人は人生を豊かにしてくれるとしみじみと思った。それにしても久しぶりに大声で笑った。懐かしい感覚と若さを少し取り戻したように感じる。結局、夜も2時まで麦酒を飲みながらお互いのこれからや昔話に華が咲く。