Taal湖

幾度もTagaytayには足を伸ばしていたのだが、巨大なカルデラ湖まで降り、二重火山まで船で渡るまでは至らなかった。Tagaytayには正直を言うと、マニラの近郊だということで過大評価された名所という印象を抱いていたが、中心まで足を運んでその印象は反転した。青空のTaal火山は小売店やプラスチックにまみれる事も無く、爽快な自然景観を楽しめる。TaalVistaHotelもPeople’sParkからの眺めも良いがTaal火山からの眺めは骨を折る価値がある。


バンカーボートを3000Phpから2000Phpに値切り、30分ほどかけて湖を渡る。Taal火山に登るには一人あたり馬350Php+登山料50Php+ガイド500Phpが必要だと言われる。徒歩で登るのは非常に大変だと客引きは捲し立てるが、LonelyPlanetには「徒歩でも45分程で登れる。疲れた年老いた馬を借りたくば500Php。ガイドは周りがどう説得しようとも確実に要らない」と書かれている。一人づつガイドなど要らないし、ガイドが馬を引いて歩くならば徒歩で歩くのとさほど変わるまい。ガイドも馬も頼むことなく登山料50Phpだけで済まそうと思ったが、ガイドを最低一人は同行させるのが決まりだと言い張るので400Phpに値切って案内してもらった。

この中で一番偉そうなのは犬だ。甘やかしすぎ甚だしい。


公認のガイドがいるのかと思いきや、案内してくれたのは船を渡してくれたおばちゃんである。このとき、ガイドも不要だったことを確信したが今更何も言うまい。馬が行き来するので馬糞の散らばる土の小道を歩いていく。2つ目の休憩場でガイドのおばちゃんが、音を上げて頂上まで上がって戻ってくるのをここで待っていると言い出す。もはやガイドすることすら放棄。随分といい加減なものである。だがもともと道は始終一直線なので何も困ることは無い。森が途切れ、広々とした緑の山稜の上を一列になって歩いていく。

なぜかメキシカンな風貌の嫁。いざなうように糞が点々。

坂の上の雲。登りきって腰を伸ばすと、ぱっと視界が開けて眼下に小さな二重火山湖が広がる。緑、青、緑、青。

頂上から眺めるTaal湖。なんと温泉が湧いているのがわかる。

山頂には簡易な売店があり、椰子の実の汁が飲める。

日本の真夏のような気配。

大気全体に鳴り響いているように蝉の音。どこに蝉がいることを感じることも無く背景全体に鳴り響いている。空気も熱帯のジメジメと肌にまとわりつく暑さではなく、風が吹くとカラリとした爽快感を感じられる。色彩もどこか日本の夏を思わせる。山形の祖父母の家の周りの山林や畦を歩いたときのように、濃い緑にの中に黄金色が混じったような午後の陽射し。瑞々しい緑から草いきれを鼻で感じる。ねっとりと濃厚な熱帯の緑ではなく、久々に四季のある国の緑の気配を感じられたのが嬉しい。

Taal湖は巨大カルデラ湖の中にさらに火山が突出しさらに其の中に二重火山湖ができている不思議な光景。山の縁の緑、湖の青、山の緑、さらに中央の湖の青と4重に輪ができておりその目に清々しい縞々を一望できる。