ロッククライミング

先週末、突如、知人に誘われてマーケットマーケットのインドアロッククライミングに挑戦することとなった。初めての体験である。

61歳の日本人男性と御一緒させて頂いた。20歳の頃から岩登り山登りに親しんでおり、最近は6年ぶりにインドアロッククライミングに再挑戦し始めたとのこと。見た目は確かに61歳の小柄な方である。

インドアロッククライミングには技量に応じてただ垂直な初心者コースから逆勾配の壁、さらには水平にせり出した難所のある上級者コースまである。俄かには信じ難かったが、この初老の男性は最も難しいコースを驚くほど簡単に登りぬいてしまった。登りきる頃には周囲にギャラリーができていて拍手。フィリピン人にとってもびっくりだったようだ。

最後に自分が登る番となった。命綱をスタッフが持っていてくれるので、安全だとは聞く。とりあえず勝手もわからぬまま体当たりで初心者用の壁を登ってみることにした。

5メートルも上がるとかなり高く感じる。命綱があると言っても、実感覚としては両手両足で僅かな突起につかまっているだけである。10メートルを越えるころには腕が疲れてくる。目の前の突起が恨めしいほど小さく思えてくる。

コツとしては、腕の力を極力使わず、足の力で体を押し上げていくのだという。腕よりも脚のほうが3倍以上太く力も強いので、言われれば納得がいく。さらに体を壁に密接させないほうが足元を見られるので効果的に足を運べるとのこと。

しかし聞くのと実際に行うのでは大違い。15メートル近くまで上がると怖さが先立って、腕でしがみついてしまう。体を壁から離そうにも、ずっと腕が懸垂している状態になるのですぐばててしまう。ゴール付近になると、はやくゴールにたどり着いて降りたいとの一心になる。頭の上に見える突起につかまらなければと思っても腕がいうことを聞かない。爪先立ちしている足が貧乏揺すりのようにブルブルと振動する。映画でビルや崖に手先だけで辛うじてつかまっており、やがて力尽きて落ちてしまうあの焦りを疑似体験できる。

1時間のクライミングで2回も登れば全く握力がなくなる。非常に負荷の高いスポーツだ。フリークライミングだけはやりたくないと思った。何百メートルの壁を登ったりするらしい。壁の途中で腕に完全に力が入らなくなってしまった事態を想像するだけで恐ろしい。

腕力と体重が完全にアンバランスなんだろうな。体重を減らすと共に腕と足の筋力アップが必要だ。指の握力も然り。あまりのふがいなさに、再度挑戦することを決意した。

140ペソでなんと何度でも登れる。まあ、2,3回登れば初心者はすぐばてるのだけれども。

昔、週間少年ジャンプに「ジョジョの奇妙な冒険」という漫画が連載されており、その第三部に出てくるオインゴボインゴという敵の描く画風がこの手とまさにそっくり。ブリュッセルの蚤の市で3ユーロで購入。