ダイビングの魅力

ところで、ダイビングの魅力って何なのだろうか。毎週のようにダイビングに行く人もいる。

毎週、森に昆虫や鳥類、爬虫類などの生態観察に行くという人がいたら、オタクであるとか取っ付き難い研究者肌の変わり者に見られがちではないだろうか。頭に浮かぶのは養老猛や海野和男のようなオジサマである。

それが毎週、海にダイビングに行くという人に対しては、何やら洗練されて洒落た趣向を持った趣味人かのように聞こえる。頭に浮かぶのは褐色の肌に健康的な水着姿の小谷実可子や宍戸開らである。

小生の先入観と偏見かもしれない。しかしダイビングの魅力が熱帯魚や珊瑚を見ることだと言うならば、魚類、後鰓類や甲殻類の生態観察だと言い換えることができる。珊瑚とてあれも無数に蠢く花虫綱の生き物である。しかし恐らく、「わあ素敵。私もダイビングに連れて行って」という女性は「わあ素敵。私も森に連れて行って」という女性より遥かに多いように感ずる。女性により顕著だと思うのは偏見だろうか。

森の生態にさほど興味を示さない人達が、海の生態となると途端に熱を上げるのに違和感を覚える。ダイビングの魅力は他にも巨大な魚群や海中の遺跡や岩の造形を見ることだと言う声も聞くが、森にだって様々な生物の群生や滝や山などの景観美がある。森に蚊や虻や毒虫がいるように海にもクラゲやウツボガンガゼやエイなどの危険がある。

こんなことを言うと、大抵は虫や両生類は気持ちが悪いが熱帯魚や珊瑚は綺麗だなどと、一刀両断される。しかし両者も近くで見れば同様に綺麗でもあるしグロテスクでもある。森の生態に美しさを見出さない人が海の生態をそんなに飽きることなく熱中できるのか、とつい首を傾げてしまう。

ダイビングの魅力とは何だろう。とりあえず、もっと潜ってみたい。

熱帯魚に負けず劣らず鮮やか。絹のような艶やかな光沢は海の生き物には無い。

ソフトコーラルに通じるものがある。鮮やかに発色している茸。誰もが目にする熱帯魚水槽のソフトコーラルには海茸と呼ばれる種もある。

甲殻類とさほど変わらない。海には海百足という生き物もいる。

陸のウミウシや貝と言えば蝸牛。沖縄にはエメラルド色の蝸牛がいる。

そして鮮やかな花々は陸上ならではのもの。

以上、どれもThe Farmで見かけた動植物。はて、ダイビングの魅力を記すはずが森の魅力になってしまった。浅瀬のダイビング講習でもウミウシクマノミ、スズメウオなど色彩豊かな生物を見ることが出来た。惜しむらくは水中で撮れるカメラが無いこと。巨大なカメラレンズ沼を目の前にして足を踏み込むべきか途方にくれる。