The Farm - 翡翠蔓

ここの水盆はバリで見たもの以上に華やかで創作的である。今回、レセプションの水盆に珍奇な花を見つけた。翡翠蔓である。どこで知ったか覚えていないが、名前だけはすぐに思い出された。

フィリピンのルソン島およびミンドロ島にしか自生していない非常に希少なマメ科の植物で、その翡翠玉のような稀な花の色から英語でもJadeVineと呼ばれる。東南アジアの狭い地域でしか見られない花だとは知っていたが、それがフィリピンだったとは。ルソン島という響きに突然一層の親しみを感じる。
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上記リンクに見事な写真が載っていた。

ヒヤシンスのように花弁を密集させて垂れ下がる麗容は目を見張る。日本の熱帯植物園で見かけることもあるが、翡翠蔓の開花の報を聞いてわざわざ訪ねに来る人がいるぐらい愛好家の中でも人気は高い。開花するまでに成長した立派な株が100万円近くで売られていたのを確か記憶している。苗は2000円程度で売られているが、日本の寒冷な地では毎年開花させるのは困難であるらしい。

19世紀に英国のプラントハンターが跋扈した時代には名を知られた花のひとつであるらしい。フィリピンでの生育数が激減しており絶滅危惧種になっている。こんなところでこんなものに出くわすとは。先週のカブトガニといい、図鑑でしか知ることのなかったものを突如目の当たりにするのはなんとも愉しい。


次回、花弁をどこから入手してきたのか聞いてみようか。自生する翡翠蔓を拝むなんてボルネオでラフレシアを拝むことに匹敵する希少体験なのだから。