パチモノコーラ

市場に偽物が溢れる印象の強いフィリピン。グリーンヒルズに行けば偽物ブランド品が溢れるし、シネマスクエアに行けば海賊版CDが選り取りみどり。

高級スーパーマーケットのRustan’sに行くとこんな商品が置いてあった。SARSI。色使いといい、名前といい、PEPSIにそっくり。驚愕するのは缶にCocaColaCompanyと書かれていること。天下の国際企業であるコカコーラがよりによってペプシをパクるとは。。。コカコーラ本社はフィリピンのこの製品を知っているのだろうか。

見た目はペプシなのだが、味は手が止まるほどに不味い。朝鮮人参でも入っていそうな苦さがある。漢方薬が入っているといわれれば納得しそうだ。研究開発の段階で消費者の感想を酌みいれたとは信じ難い。

これはペプシを貶めようというコカコーラの策略だろうか。この缶の色を見ただけであのSARSIの苦さを想起させ、同様の色デザインのペプシすら敬遠させようという戦術かもしれない。今の世知辛い御時世、「品格が無い」「姑息だ」「せこい」とむべもない悪印象を持たれかねない行為だ。しかし、毒を持たないトラカミキリが毒を持つアシナガバチの容姿をベイツ型擬態するように、オスジロアゲハがマダラチョウの色彩模様を真似るように、生存競争のために他種の容姿を真似ることは自然界ではありふれた行為ではある。自然界では選ばれることは捕食され死ぬことを意味するが、飲料産業界においてはSARSIがPEPSIを敬遠させることでCocaColaを選択させ、生存させるという一段高等な自己犠牲的な他己的擬態である。自然界で同様な擬態があればSARSI型擬態と名付けてやりたい。

それだけコカコーラがペプシに対して脅威を感じており、驕ることなく真剣に対策を講じている証左だと好意的に取ることもできる。しかもCocaColaCompanyとの標章を隠すことをしていない。実に堂々と擬態しているわけだ。

結論として、SARSIは不味い。うっかりPEPSIと間違えてSARSIを買ってしまったら大層困るのでこれからはPEPSIも買うのは避けよう。そして気になる。誰だ、こんな商品を考えたコカコーラの社員は。