島巡り


9時には出航すると聞いていたので朝5時半に家を出てきたのだが、9時を過ぎても出航する気配は無い。そんなものか。

最初は宿から15分ほどの距離にあるMalicaban島の岬にバンカーボートを係留してシュノーケルをすることになった。しかしここは潮の流れが想像以上に強く、足ヒレを装備していない我等には全力で泳いで漸く同じ位置に留まれるほどで、さほど泳げない子供はあっと言う間に流されていった。魚を見て楽しむ間もなくロープに捕まって救出するだけで最初の数十分が過ぎていった。再度、岩礁の裏にボートをつけてもらい、岩の裏の潮溜まりにまわりこんだ。珊瑚や魚も見られるのだが、ここもなんだかんだ潮の流れは強く、魚も皆必死に泳いで岩肌にすがり付いている様子。打ち寄せる波に体の自由が利かず、時折岩に体を押し付けられたりと心休まる状況ではなかった。しばらくして船に上がってみたら皆脚に切り傷だらけ。幸い表面を引っ掻いただけで大事にはならなかったが。

船をまわし、砂浜に上陸してここで長らく過ごした。さながらプライベートビーチのようで、遠浅で潮流も無い。高密度というほどでもなかったが、安心できる環境で珊瑚や熱帯魚を観賞することができた。ウミウシやダツ、イソギンチャクやブダイなど注意を払うと色々と見つけることができ、子供たちは漸く盛り上がった様子。

昼食はココヤシの葉を葺いた小屋でピクニックランチだった。炭火で焼いた鯛、カジキに豚肉炒め、パンシット、白ご飯、魚のフライ、マンゴーにバナナ。この手の食事は見た目からは良し悪しの見分けがつかない。子供たちの口に合うか若干不安だったがどれも思いのほか美味しく、手も休めず大半を一気に食べた。魚もパサパサすることなく、それでいて生焼けでもなく、しっかりと味がある。パンシットも脂濃すぎることも無い。プライベートビーチでピクニックランチと書くと聞こえは良いが、食事が侘しいと一日漂流者体験になりかねないが、美味しい食事と珊瑚礁のおかげで文字通りのピクニックとなった。食後は我ら夫婦は木陰で昼寝。その間中、子供たちは海水浴で元気に過ごす。

午後はTwin Rocksにて再度ボートからシュノーケルに興じる。岸から20メートルほどの距離なのだが深度10メートルほどの深さに美しい珊瑚が広がる。素晴らしかったのがここは魚の餌付けが頻繁に行われて居り、かつ禁漁区にもなっているので、餌をやらずとも魚が逃げずに近距離で見ることができる。餌付けをすればそれこそ魚に囲まれ手足をつっつかれる。ボッティッチェリの絵にあるような巨大なシャコ貝、白黒の縞の海蛇など初めて目にするものも多かった。

色鮮やかな珊瑚礁を鑑賞し、魚の餌付けをし、子供たちも大興奮だった様子。初の海外旅行先にフィリピンを選んで正解だったとこの日だけをとっても思ってくれるに違いない。