Casita Ysabel

大人子供問わず、1泊1人朝夕食がついて税込み4650ペソ。


インターネットサイトの写真に惚れて予約してみた隠れ家リゾート。壁の色使いや調度品、カシータのデザインなどは落ち着いていて好みである。オーナーは品の良さそうな中華系の顔立ちの女性で、若い頃は美しかったと思われる。全て建物は自分でデザインし調度品も自ら集めたそうだ。

折角下見までして決めたというのに宿泊当日までに終わっているという修繕は完了していなかった。あてがわれた2部屋のうち、5人部屋はトイレの水も流れないし温水も出ない。天井の電灯もつかない。正直これでは日本人のリピート客は来ないだろう。

我ら夫婦の部屋にはタオルが置いておらず、お願いしに行ったら女主人がいて、ベッドの上に置いてあるはずだと繰り返された。女主人からしたら、清掃係がベッドの上に置いている筈だという思い込みが在るのだろうが、無いからわざわざ足を運んでいるわけで、客を疑っては駄目だろう。部屋にはエアコンこそあれど、テレビも湯沸しも服のかけられるタンスもレセプションの呼べる電話も無い。階段に宿の犬の糞が放置されていたのは大きな減点である。運転手用の部屋も隙間無くベッドを並べているだけで、3人に対し扇風機が1つで寝苦しかったと運転手が愚痴を零していた。

食事も悪くは無いのだが、この価格帯の宿にしては物足りない。昼のピクニックランチが美味しかっただけに膨らんだ期待は肩透かしに終わった。

スパマッサージもオーナーがブリティッシュコロンビアで修行を積んでおり高品質を保証するとの記述がホームページにはあるが、施術者は常に別の人でマニラで受ける1時間250ペソのものと大して水準は変わらなかった。1時間1000ペソを取るならばせめて夢見心地にしてくれる設えが必要だが、客室の下のスペースで少し湿気たリネンの上でされただけ。ラジカセやらそのコードやらが視界に入り高級感は皆無。嘆かわしい。

ボートツアーは他の宿でも同様の企画をしているし、船を6人で貸しきって4800ペソというのは正直高い。セブですら1日4人貸切でピクニックランチ付きで3000ペソであった。

オープン当初は話題の宿だったようで当時の様子を伝える写真の載った雑誌が積まれていた。至るところに芝生が張られ、リネンも新しく高級感がある。しかし今や芝生は影も無く、ジャグジーは壊れて使い物にならず、部屋も作りかけのような中途半端さ。理想の宿を作り上げたは良いが、メンテナンスが伴わずにずるずると退廃してしまっているのが残念。目指した宿の表面的華やかさと運営に必要な細々とした現実との乖離。

残念ながら、もったいなかったと思わせてしまう、値段に中身の伴っていない宿である。