バリ美術

美術収集家ネカ氏の個人コレクションを展示した美術館なのだがその質量に大いに驚いた。


このバリならではの独創的な絵画様式。時代の中で多様な様式が生まれている。全体的には細密画が多いのだが、色使いがなんともやさしい。極彩色の森深い地で生まれながら色相を統一して濃淡で描き分けるようになったとは。辛抱と細部への拘り、そして繊細な色彩感覚。

舞踊然り、音楽然り、料理然り、建築然り。バリ絵画といえばこれ、という独創的で他に類を見ない一様式を確立しているということはその文化水準の高さのひとつの証左と言えるのかもしれない。その一方で漫画のような絵も様々にあり、見ていて楽しい。

Ubudの街中で売られている職業画家然とした極彩色の絵よりも、古色蒼然とした色の濃淡を味わえる伝統的な様式の絵の方が好きだ。まあ、これを自分の部屋に飾るとなると難しいと感じてしまうものも多いが、中には落ち着いた雰囲気を出してくれそうな絵もたくさんある。このような作品は作家モノを扱うアートギャラリーにいかないとみつから無いのであろうが。


経済的自由があるならば、気に入った作品を選んで家に飾りたい。もしこの先の人生で仮に裕福になるとしたら、その金でバリ絵画を購入するのも悪くない。全面バリの部屋。そんなのがあってもよい。

ちなみにこの美術館、展示の仕方や建物自体も楽しめる。