タリン エストニア


ヘルシンキからフェリーで数時間、サンクトペテルブルグから近いといった地の利もあり、タリンは人気の観光地のようだ。

もし小生にも1,2週間の休暇が取れたならばロシアから北欧に抜ける通過点として、あるいは北欧めぐりにおけるアクセントとしてタリンを旅程に組み入れたかもしれない。スペイン旅行にモロッコのスペイン領を組み込むようなものか。

リガにも言えることだが、タリンの町並みは安藤光男の「天動説の絵本」に描かれるような中世の欧州の雰囲気を色濃く残す。なんといったらよいのか。学術的にはもっと真っ当な区分があるのだろうが、神聖ローマ帝国の欧州とでも呼びたい。ザクセンの欧州ともプロテスタントの欧州ともルネッサンスの欧州とも異なる。

尖塔に酸化した青銅色の時計。切り立った赤レンガ色の屋根。そして淡い色に彩られた街壁。街は清潔で安全で、築何百年の外郭の中にあるカフェや店は洗練され、デザインに優れ、設備の新しいものが多い。



こんな道の上の建物に書斎なんぞを構えて、仕事の合間に下をくぐり抜ける人の往来を眺めるなんてのもいいだろうな。朝5時起き、片道4時間の強行軍を押してまで来る価値のある都市だった。